近年、大流行した言葉として「忖度」というものがあります。
この言葉は、元々は「他人の心情を推し測る」という意味ですが、近年では「立場が上の人の都合を考えて、配慮する」というような意味合いで使われることが多いです。
この忖度という行動は、釣りの世界にも存在すると思います。
ガイドに忖度してもらい、魚を釣る。
釣りの世界にはガイドサービスというものがあります。
慣れない釣り場などで釣りをする場合には、このガイドサービスを利用する釣り人は多いものです。
ガイドを頼むと、魚の居る場所に連れてってくれ、釣り方を教えてくれ、魚が釣れれば「おめでとうございます」と言ってくれることがほとんどです。
もうこれは「忖度のかたまり」と言っていいくらい、ガイドが釣り人の気持ちを考えて尽くしてくれた状態です。
さて、この忖度フィッシングで魚を釣ったとして、それは本当に心から楽しいものなのでしょうか。
まず、ポイントを探したり、釣り方を考えたり工夫するという点を人に任せている時点で、釣りという行為の半分は放棄してしまった状態であると言えるのではないでしょうか。
そういった過程に釣りの楽しみを感じる人には、自分で釣った気がしなくて、楽しくはないかもしれません。
自分で「釣った」というよりは、「釣らせてもらった」状態なのですから、少しでも誇りを持っている釣り人なら100%満足という気持ちにはなれないでしょうし、他の釣り人達からも認められないかもしれません。
特にガイドなど利用しない人でも普通に魚が釣れる国内の北海道などで、ガイドを頼んで魚を釣ったら、他人から認められないどころか、嘲笑の対象となる可能性もあります。
釣りは個人の趣味ですから、他人からどう思われようと、どうでも良いことでしょうが、あまり気持ちの良いことでもないでしょう。
以上のように、ガイドに忖度され魚を釣らせてもらうということは、普通に考えれば、あまり楽しくないことですし、満足感も得られないですし、他人からカッコ悪いと見なされてしまうことだと思います。
忖度しないガイド。
私には、何人か外国人のガイドの知り合いがいるのですが、その人たちはろくに忖度してくれません。
釣り方なんて細かく教えてくれませんし、平気で私より先に魚を釣ってしまいます。
もう完全に、ただ一緒に釣りをするような状態になることが少なくありません。
普通に考えれば、サービスがなっていない、もうちょっとお客の気持ちを考える
べきだと思われるかもしれませんが、私はこれくらいのサービスで丁度良いのではないかと思っています。
遠い異国の地の魚が居る場所まで連れてきてもらっているのですから、それだけでも充分に助けを得られているわけで、お金を払った価値はあるはずです。
後は自分で何とかするくらいの自由度は欲しいところですし、後ろから着いてこられて魚を釣られてしまっても、それは自分が釣り逃がしていただけであり、こちらの責任だと思います。
それに、実際に魚を目の前で釣りまくってくれるのですから、それだけ信用できる釣り人だというものでしょう。
たまに北海道などでは、魚釣りをしない人や、ろくな魚を釣ったことのない人がガイドをしていることがありますが、そういった人と一緒に釣りをしても、素晴らしい釣果に恵まれる可能性は少ないのではないでしょうか。
やはり、実際に大きな魚を釣りまくっている人ほど信頼できるのは、間違いないはずです。
こういった状態で自分なりに考えて釣りをしていると、なんとかガイドと同点くらいまでは釣れるようになってくるものです。
そうなればガイドも「おっ、こいつは本当に釣りキチだ」と認めてくれるようで、大きな魚の居るとっておきの場所などに連れていってくれるようになったりするものです。
ですから、私は自分がガイドを利用する時は、「一緒に釣りを楽しむ」程度のサービスで丁度良いと思っているのですが、皆様はどうでしょうか?
忖度のかたまりのような一般的なガイドフィッシングと、どちらが楽しいと思いますか?