たまにリールのスペック表などに、最大ドラグ力と実用ドラグ力というものが表記されていることがあります。
これらは、一体どういったものなのでしょうか。
最大ドラグ力と実用ドラグ力。
最大ドラグ力というものは、手で目一杯ドラグを締め付けた時の力だそうです。
それに対して、実用ドラグ力というものは、ノブの締め付けとドラグ力が比例してドラグが作動する限界だそうで、それ以上締めつけると、安定したドラグの作動は望めなくなるということでしょう。
ドラグ力は、ラインの強度の3分の1以下にセットすることが普通ですから、一部のヘビーな釣り以外なら、日本で釣りをしている限りは、実用ドラグ力の範囲内で十分に釣りができるものなのではないでしょうか。
特に日本では、世界的に見れば異常なほどライトなラインを使う釣りが多いですから、ドラグには、ドラグ力が強いことよりも、微調整が効き、いかに安定してスムーズにラインが出るかという能力が求められているはずです。
ですから、最大ドラグ力なんてものは、ごく一部の海の大物釣り以外では、実際には気にする必要のないことがほとんどでしょう。
最大ドラグ力しか書いてない。
ところが、海外メーカーのリールなどには、最大ドラグ力しか書いていないことが多々あります。
しかも、「本当かな?」とちょっと疑いたくなるほど、大きな数字が書いてあることもあります。
このような表記の違いは、ドラグというものに対して期待していることが、日本と海外では違いがあることからきているのだと思います。
海外ではドラグ力を気にするような釣りでは、日本のように細いラインを使わないものです。
そして、そういった釣りで大きな魚を釣る時には、ドラグがどれだけ魚をストップできるのかを重視している人が多いです。
日本人はドラグをラインを逆転して出す仕組みだと思っていますが、海外にはラインの逆転を止める仕組みだと思っている人が、沢山いるのです。
ですから、とにかくドラグはどれだけの力で止められるのかを知りたがる人が多く、リールのスペックには最大ドラグ力だけが書いてあるのでしょう。
このように考えてみますと、ドラグは微調整が効き、いかに安定してスムーズにラインを出すかを重視して作られた日本の高級なリールというものは、世界的には実は必要とはされていないものなのではないでしょうか。
いくら精密なドラグのリールでも、ガチガチに締め付ける人が少なくないのですから。
それから、実用ドラグ力などというデリケートなものを気にする必要があるのは、日本人だけなのかもしれません。
それくらい日本の釣りというものは、特殊で異常なものになってきている気がします。
そんな特殊で異常な釣りに合わせて物を作っている日本のメーカーのリールが、世界を征しているわけですから、今後リールというものは、世界的には実用的ではない、無駄に複雑なものになっていくのかもしれません。