カーディナル C5は、80年代中頃にアブから発売された、ブラック一色のクールなリールです。
名古屋製だもんで。
このシリーズは、C3、C4、C5と3サイズが展開されていて、このC5が最大のサイズです。
ただし、ボディはC4と同じものが使われていて、ローターやスプールのサイズが違うという仕様になっています。
ギア比は、1:5.1
6号ラインが、140メートル巻けるサイズのスプールです。
淡水で大きな魚を狙うには、ぴったりのサイズなのではないでしょうか。
インスプール時代のカーディナルと、大きく違うことは、アウトスプールであることと、ストッパーがサイレントであることでしょうか。
古いリールを使ったことのない人でも、すんなり馴染める仕様だと思います。
アブのリールですが、日本の名古屋で製造されていたそうです。
実物を手にしたことのない人は、黒い樹脂製の安っぽいリールだと思われるかもしれませんが、実物はガッシリとした金属製で、しっかりとした作りのものです。
ただし、一部分を除いては。。
時限爆弾式ベールスプリング。
このリールのベールスプリングには、耐久性の低い2回巻きのトーション式のスプリングが使用されています。
これは、現在のリールに使われている、耐久性の非常に高いコイル式のスプリングが、特許の関係で使えなかったのが原因だと思いますが、2回巻きとは、なんとも心細いものです。
同じようなスプリングを使っている、ペンのスピンフィッシャーは、もっと巻き数も多いものが使われています。
カーディナルC3のベールスプリングが、新品から折れるまでのベールリターン回数を実験したデータを見たことがありますが、なんと3500回でした。
これでは、一週間も釣りをしたら、折れてしまう数字ではないでしょうか。
C4やC5のベールスプリングの方が、大きくて耐久性がありそうですが、それでも不安でいっぱいです。
これほど「どうしてこうなった?」という言葉の似合うリールを、私は今まで手にしたことがありません。
幸い、須山スプリングという会社が、このスプリングを売ってくれているので、予備を簡単に手に入れることはできます。
C5のベールスプリングは、C4と共通ですので、C4用を買えば問題ありません。
この弱点さえなければ、サイズ、ルックス、サイレントストッパー採用など、個人的にはかなり理想に近いリールです。(インスプールなら言うことなしだが)
ただ、この不安がある以上、予備のスプリングを持っているとは言え、あまり本気の釣りに持ち出しにくいのが実情です。
ちょっと数時間釣りをするような時に使い、小さなイトウを何匹か釣った程度で、まだベールスプリングが折れるほど使い込めていません。
こんな中途半端な使い方をしていると、「ホントに折れるのかなぁ」と不安が和らぎ油断しがちになってきますが、今でもこのリールを使う時は、なるべくスペアのスプリングとドライバーを携帯するようにしています。
なんとも手のかかるリールなのです。