春のイトウ釣りは、魚の稀少性を考慮して産卵期を避けてすることが一般的になっています。
しかし、法律で決まっているわけではありませんから、産卵期に川の上流部で釣りをする人もいるようです。
産卵直前に釣られた魚は逃がしても産卵を止めてしまうことがあるようですし、そもそもそういったことをする人は、釣って持って帰る人も多そうですし、結局は将来的に魚が減ってしまい、自分が困ることになるのであまり利口とは言えないと思います。
まあ、そういった一部のアホな人達以外は、春は基本的には産卵後に川を下ってきたイトウを釣ることがほとんどです。
そういった「お疲れ」な状態の魚を釣るのも、あまり良くないような気もしますが、こういったことを考え過ぎると一年中釣ってはいけないような気がしてきてしまいますから、ここら辺を妥協点として釣ってしまうしかないと思います。
そんな産卵期後のイトウですが、釣ってみるとオスのイトウは結構ボロボロであることが多いです。
メスを奪い合い喧嘩をしたためか、噛みつかれて肌荒れしていたり、はっきりと噛み跡が身体に付いていたり、ヒレの先端が噛みきられていたりすることなんかもあります。
こういった「他のオスにやられた跡」は、小さく弱い個体ほど多そうな気もしますが、90センチから1メートルほどの魚でもついていることがあります。
これは、こういったサイズの魚でさえ、楽にはペアになれないということを表していると思います。
もっと大きな魚が沢山いて、1メートルの魚でも負けるほどなのか。
それとも、自分よりも身体が大きな魚にも闘いを挑む魚が多いのか。
どちらかではないかと、私は思っています。
釣り人としては、もっと大きなな魚が沢山いるのだと思い、夢を持ちたいところですが、産卵場所に120センチの魚が何本も居たというような話は聞いたことがありません。
ですから、おそらく70センチくらいの魚でも、自分より大きな魚に噛みついたりしているのが実際のところだと思います。
ボロボロに疲れきった魚を釣ると、なんだか申し訳けない気持ちになってきます。
釣り人の中には、こういった魚を避けるために秋にしか釣らないという人もいるようです。
私も、そうしようかとも考えるわけですが、秋の魚は長い目で見れば、もう産卵の準備に入った状態の魚なわけで、これはこれで釣ってはいけない気がしてきてしまいます。
このように考えていると、先程述べたように、「もう一年中釣ってはいけないのではないか?」という方に向かっていってしまいます。
もっと考えてしまえば、そもそも釣りなんて生き物を虐待する行為はやってはいけないような気もしてきてしまいます。
結局は、釣りそのものを止めるのが一番良いのではないかと、私は思うわけですが、あまりにボロボロな産卵期後のオスのイトウを釣った時には、特に強くそう思ってしまっています。