釣りにゃんだろう

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映画『雨鱒の川』の違和感と釣り人。

『雨鱒の川』という、2004年に公開された玉木宏主演の映画があります。
これは川上健一という人の小説が映画化されたもので、原作の舞台は東北でしたが、映画では北海道を舞台にした物語となっています。

ピッチピチの綾瀬はるかを見られるというグッドポイントはあるものの、舞台である北海道に住む人々からはあまり評判の良い映画ではありません。


評判のよくない理由。

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北海道に住む人々には、この映画があまり評価されない理由としては、その映像が「いかにも内地の人が頭に思い描いた北海道の生活の幻想のようなもので、まったく現実味がない」というようなものが多いです。

つまり、実際に住んでいる人からすれば「こんな生活はありえない」とか「こんなことはしない」などと思える描写が多すぎて、冷めてしまうというわけです。

まあ、フィクションであり映画なのですから、そう目くじらを立てずに、玉木宏の若きイケメンフェイスとか、綾瀬はるかの超絶的な胸のふくらみでも気楽に眺めていれば良いのでは、と私は思うのですが…

やはりいかんせんちょっと現実離れしすぎているなと、私も思うところもあります。


虫にやられないんか?

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私が一番気になるのは、映画の登場人物達が、ずいぶんと肌を出した服装をしていることです。

北海道というのは、地域にもよりますが、日本の中では虫がめちゃくちゃに多い場所です。

夏場などに半袖で草刈りでもしようものなら、一瞬にして何ヵ所もアブに刺されて、腕が血だらけになるような場所です。
釣りをしていても、ちょっと運が悪いと自分が蚊柱の中芯のようになったり、夕方には魚だけではなく自分も水性昆虫を食べまくるような状況になったりもします。
それから、自動車に乗っていても、突然虫の嵐のようなものにぶつかることもあり、フロントガラスや車体が虫だらけのギトギトになります。

ですから、この映画の登場人物のような格好を夏場にしていたら大変なことになるはずですし、外で食事をする場面なんて大丈夫なのか心配になります。

このように、この映画は、フィクションに肯定的な私でさえ疑問に思ってしまうほど、現実の北海道の生活からは程遠いものとなっています。
ロケの時は、一体どうしていたのでしょうか?虫の少ない地方だったのでしょうか?
疑問は増えるばかりです。


釣り人目線の疑問点。

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この映画には、魚を採ったり釣りをしている場面が出てくるのですが、この描写を釣り人が見ると、また「あんなのおかしい」と言い出してしまうようなものになっています。

中でも突っ込みを入れる人が多いのが、イトウ釣りの描写です。
この映画の中には、年中イトウを狙っているけど釣れないという老人が出てきます。

しかし、その人の釣っている場所や方法が、イトウ釣りをしているとは思えないものなのです。

まず、その人の居る場所が、夏場なら考えられなくもないですが、イトウが居そうもない渓流のような場所です。
イトウを釣るなら、ラストシーン直前で主人公達が筏から上陸する場所の方が、ずっと良さそうです。
それから、その人のタックルや釣り方も、何をやっているのかよく分からず、そもそも魚を釣る気があるのか?と疑問に思うようなものです。

ですから、釣り人がこの映画を見ると、ほぼ必ず突っ込みを入れたくなってしまうのは納得です。

 

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けれども、私はもしかしたら、この描写はわざとなのかもしれないとも思います。
この老人は、形だけイトウ釣りをしているだけで、本当はイトウを釣りたくないのかもしれません。
映画を見ていただければ分かるのですが、この老人はイトウを釣ったら果たさなければならない約束を、ある人物としています。
そして、それは今さら果たすわけにもいかないような状況になってしまっています。
ですから、形だけイトウ釣りをしていますが、わざと釣れないようにしているのかもしれません。

製作側がここまで考えていたのかは分かりませんが、ありえなくもないのではないでしょうか。


このように映画『雨鱒の川』は、釣りをする人や北海道に縁のある人には、突っ込みどころ満載の映画です。
まだ見たことがない方は、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。