ルアーやフライで釣りをしているとよく思うのですが、リアルに小魚や昆虫を模したものよりも、 何を模しているのかよく分からないような曖昧な物の方が、魚はずっとよく釣れる気がします。
精巧に作られた色や形が本物そっくりなフライよりも、ぐちゃぐちゃぼさぼさのゴミみたいなフライの方が良く釣れることはいくらでもあります。
超リアルな高価なハンドメイドの魚皮張りのミノープラグよりも、400円のスプーンの方が釣れるなんてことも当たり前にあります。
こういった現象がよく起きるのは、人間が作るリアルな擬似餌という物は、必ずしも魚から見た場合にはリアルではないことが原因だと思います。
どんなに精巧に作っても、フライやルアーは偽物です。
本物の餌と比べてしまったら、違和感を魚に与えるものに過ぎないはずです。
そして、それはリアルさを追究して作り込むほど、きっちりはっきりと偽物だと魚に分かりやすくなってしまうことがあるのではないでしょうか。
それに比べれば、シルエットや色が曖昧なものは、はっきりとは偽物だとバレにくく、「何だかよく分からないけれど魅力的だ」と魚を騙しやすいのかもしれません。
人間の目にはリアルに見えても、魚にははっきりと偽物だと分かる物と、人間にも魚にも何だかよく分からない曖昧な物では、後者の方がずっと「誤魔化しが効き」、魚が釣れやすいのかもしれません。
ですから、ルアーやフライを見て、「本物そっくりだな」と思ったら要注意です。
人間の独りよがりという罠にハマりかけているのかもしれないのですから。
人間の作るリアルさほど、自然の中で不自然なものはないのかもしれません。