釣り場では、場所取りや割り込みといったことで揉めるトラブルが、少なから発生しているものです。
私は、人が密集するような場所での釣りはあまりやらないので、そういった揉めごとには巻き込まれたことはありませんが、それでもトラブルになりかねないような状況になった経験をしたことは、数回はあります。
川や湖で釣りをしている時は、先に釣り場に入っている人が居たら、普通はあまり近くでは釣りをしないのが常識だと思います。
私は、できる限り「あそこに人が居るかな~?」と、他人が目視できるかどうかギリギリくらいの距離をとることにしています。
そんな感じで、各々がうまく距離をとって釣りをしているのに、稀にやたらと接近してきて釣りをし始める人がいます。
しかも、無言で割り込んできたりするわけでもなく、礼儀正しく「こんにちわ~」と挨拶をしてきたりして、全く悪びれる様子もなく、平然と真横で釣りをし始めるのです。
挨拶をしてから、「こっちでやっても良いですか?」と聞いてくれる人もいますが、そういった人は必ずそれなりに距離を取り、遠慮気味に釣りをするものです。
礼儀正しいのに、平然と人の真横で釣りを始めるような人達は、どうやら「隣やっても良いですか?」と訊ねる必要はないと思っているようで、その距離感で釣りをするのは当たり前で、全く悪気もないようです。
こういった悪意はないのに明らかに距離感がおかしい釣り人が存在するのは、その人が普段釣りをしていた環境に原因があるのではないかと、私は思っています。
管理釣り場や一部の人気のある湖や川などでは、休日には人がびっしり並んだ状態で釣りをするのが当たり前であったりします。
そういった状況で釣りをすることを覚えたり、毎週のように釣りをしていたら、他人の真横で釣りをすることが悪いことだとは気づくことはなく、むしろ当たり前のことだと思うようになるのかもしれません。
ですから、これはそういった人達が悪いのではなく、そういった人達を生み出す貧相な余裕のない釣り場が悪いと言えるのではないでしょうか。
以前、川で朝から釣りをしていたら、「おはようございまーす」と元気良く挨拶をしながらオジさんが現れ、平然と私の真横で釣りを始めたことがありました。
そして丁寧な言葉遣いで話しかけてくるわりには、私のラインにクロスするギリギリのような位置に、平気でフライを投げ込みまくってくるのです。
私は、自分で言うのもなんですが、滅多に他人に怒ったりしないことで知人の間では有名な人間です。
しかし、この時ばかりは、ちょっとキレそうになってしまいました。
一生懸命早起きして釣り場に一番乗りして、 ようやく有望ポイントで釣りを始めたのに、後から来たオジさんがガンガンに私のラインに被せてキャストしてくるのですから。
多分、ちょっとでも気の短い人だったら、間違いなく喧嘩になっていたのではないでしょうか。
しかし、私はなんとか冷静になり、オジさんのタックルや釣り方を確認したところ、どうも日頃から管理釣り場での釣りがメインのような雰囲気でした。
そういった所で釣りをしていたら、たまにオマツリするくらいの距離感は当たり前で、もしかしたら悪いとも思ってもいないのかもしれないと考え、私はなんとか怒りを鎮め、ポイントを移動したのでした。