海の潮が引いたり、川や湖が減水すると、思いがけず大量の根掛かりルアーを拾うことができたりします。
根掛かりして放置されたルアーは、法律上はゴミ扱いになる可能性が高いので、持って帰ってしまっても問題ないでしょうし、ほとんどの釣り人がそうしているでしょう。
中にはそれらを大量に売って財を成す人までいるようですが、普通は自分で使うことになると思います。
そして、誰もがこんな経験をすることになるのです。
「この拾ったルアーは、妙に釣れるな」
拾ったルアー最強伝説。
ある晴れた春の日の早朝、雪と氷の中で小一時間ほど、私はその年初めての釣りをしました。
結果的に魚は全く釣れなかったのですが、ルアーを一つ拾いました。
そのルアーは、私がよく使うものと同じでしたが、自分では買わないような、好みではない色のものでした。
次に釣りに行った日、私はそのルアーを一番に使ってみました。好みの色でなくても形は間違いないものだし、拾ったものだから真っ先に根掛かりしてなくしても痛くもないからです。
するとどうでしょう。すぐに魚が2匹も釣れました。
真っ先に根掛かりして失くしてもよいものだったはずなのに、一軍ルアーに一瞬にして格上げです。
その後も、何度か根掛かりしかけるというピンチを乗り越えながら、その拾ったルアーの快進撃は続き、結局その年にルアーで釣った魚の半分近くは、そのルアー1つで釣ってしまったのです。
私は「このルアーには、神が宿っているに違いない」と思い、その年の冬に使用用に同じカラーのルアーをいくつか買い、拾ったものは殿堂入りさせ、家に大事に奉られています。
拾ったルアーが釣れる理由。
神が宿っているなんてオカルト的な理由はさておき、拾ったルアーがよく釣れるとされる理由はちゃんとあります。
その釣り場のヒットルアーである可能性があるから。
現場であるその釣り場で拾ったということは、その場所で確かに使っていた人が居たということであり、その人がその釣り場で魚を釣りまくっている人だったとすれば、そのルアーは実績のあるものであるということになります。
しかし、根掛かりさせた人が、超絶釣りの下手な人である可能性もあるわけで、必ずしも実績のあるものだとは限らないでしょう。
あくまで、「ヒットルアーかもしれない」程度の小さな可能性であると思います。
失っても怖くないので、ギリギリを攻められるから。
拾ったルアーはタダで手に入れたものですから、失っても痛くも痒くもありません。
こうなってくると、釣り人は普段なら躊躇してしまうような、障害物ギリギリやボトムスレスレなどを、思いきって攻めることができます。
その結果、普段は釣れなかったような魚まで、拾ったルアーでは釣れてしまうという可能性はあるでしょう。
しかし、これに気を良くして、ガンガン際どい所を釣っていると、ほぼ確実にルアーは再び水中に取り残されることになります。
「短い付き合いだったな」と、拾ったルアーとはすぐ別れることになるのは、釣り人あるあるなのではないでしょうか。
このように拾ったルアーというものは、何だかんだ言って、よく釣れる可能性があるものです。
また、釣り場の環境への悪影響という問題を考えても、ルアーを拾うことは悪いことではないでしょう。
多少錆びていたり泥だらけでも爆釣ルアーかもしれません。周りのラインも含めて、見かけたらしっかりと回収したいものです。