私が使っているフライリールは、大半が中古品です。
それも使いっ放しにされて薄汚れた、ちょっと状態が悪く安かったものばかりです。
そういったものには、古く劣化したラインも巻きっ放しにされていることが多く、使える状態にするためにはせっせと古いラインを引き出さなくてはなりません。
そんな作業をしていて気がついたのですが、ちょっと昔の人のフライラインの接続方法というものは、本当に人それぞれなのです。
古いリールからラインを引き出していると、バッキングラインとフライライン、ランニングラインとシューティングヘッド、フライラインとリーダーなど、様々な結束部が現れるのですが、これらの結び方はリールの以前の持ち主によって様々です。
ライン同士を直接結んだり、スプライスしたり、ループを作ったり、ループを作るにしてもラインを溶着したり、ブレイデッドループを付けたりと、同じ接続箇所でもリールの持ち主によって様々な違いが見られます。
そして、以前のリールの持ち主の皆さんは、その状態で魚を実際に釣っていたのですから、全ての方法が正解であるのでしょう。
ラインの接続は、求められる強度や利便性などを考えて、自分で好きなように決めることができ、それで魚を釣ることができたのなら、それが正解なのです。
誰かがこう結束しろと言ったから、それを真似したり、そうしなければいけないわけではない、自分で自由に決められるものなのです。
考えてみれば、釣りというもの自体が、本来はこのように自由なものでしょう。
狙った魚を釣るために、自分で自由に道具を選び、自由に方法を考え、自由に工夫をし、魚を釣る。
どこかのメーカーの宣伝の言うことを信じたり、どこかのプロのやることを真似したり、そんな不自由なことをする必要はないのです。
しかし、どうも近頃の釣り人は、この釣りの自由さを忘れてしまっている気がしてなりません。
どこかのメーカーやどこかの誰かが決めたお奨めのタックルを買い、紹介されている釣り方で魚を釣る。
分からないことは、ネットで調べて、そのまま真似をする。
そんな近頃の釣り人の言動を見ていると、古いリールの持ち主の皆さんと同じように、自由な精神で釣りを楽しむことを、もう忘れてしまったのではないかと思ってしまいますね。