コイは雑食性の魚ですから、様々なエサで釣ることができます。
それから、そのエサを模したようなフライやルアーでも釣ることができます。
ところが、時として、そのような通常考えられるような方法以外でも、なぜか釣れてしまうことがあるものです。
スプーンにガッツリ。
私は、スプーンというルアーを使って釣りをしていることが多いのですが、たまに狙ってもいないのに鯉が釣れてしまうことがあります。
ある日、ウグイが産卵に集まっている浅瀬で、そのウグイを狙っているイトウを釣っていました。
ウグイが産卵した、まさにその瞬間にイトウは襲いかかるようで、水面の波紋から判断して、ちょうどその瞬間にスプーン投げ込んでフォールをさせると、イトウが釣れるのです。
その時も、モワモワと水面に波紋が拡がる瞬間ピッタリに、スプーンを投げ込むことができ、「これは決まったな」と思ったタイミングでした。
スプーンがフォールして底に着く前に止まったのでアワせてみると、強烈な引きとともに魚が突っ走り始めました。
もうこの瞬間には、私は「これはイトウとは違う魚だ」だと思い、「たぶん鯉だろうな」と予想がつきました。
ウグイの産卵した卵を狙っているのか、鯉の姿もよく見かけていましたし、どこまでもパワフルに走りまくる引きは、どう考えてもトラウト類の引きではなかったからです。
なかなか寄ってこないので、スレではないかと疑いましたが、ランディングしてみると、しっかりとフックが口に掛かっています。
ウグイの卵を食べていたところにスプーンがヒラヒラと降ってきたので、反射的に食いついてしまったのか、それとも魚を襲っている鯉だったのか、どうして釣れてしまったのか、よく分からない鯉でした。
このような、ちょっと特殊な状況でなくても、スプーンで鯉が釣れてしまったことがあります。
イトウを狙って川の岸沿いにスプーンを投げていたのですが、どうにも釣れないので、気分転換に川のど真ん中にスプーンをドボンと投げ込んで、ゆっくりと何も考えずただ巻きをしていました。
するとガツンとアタリがあり、いきなりロッドが絞り込まれました。
これはデカイかも？と一瞬思いましたが、やはり明らかにイトウの引きとは違います。
なんとか寄せてくると、丸々と太った鯉です。
かなり川の河口に近い場所なのに、鯉が居るとはちょっと驚きです。
あまり引っ張り合いをしてラインが痛むのも困るので、ラインを弛めたり、ロッドを軽くちょんちょんと振り、フックを外して足元まで寄せずにリリースしました。
対岸で釣りをしていたおじさんが、その様子を見ていたのですが、「なんか、あいつ今、えらいデカイ魚をバラさなかったか？」とでもいうように、不思議そうにこちらを見ていたものです。
川のど真ん中を泳いでいるスプーンに食いついてきたのですから、この鯉は明らかに魚を食べているものだったのでしょうか？
しかし、たまたま不思議な物であるルアーに好奇心から食いついてきたとも考えられますし、これまたどうして釣れたのか、よく分からない鯉でした。
このように、想定外な方法であるルアーで鯉が釣れてしまうことを経験して思うのは、やはりルアーフィッシングは何が起きるか分からないということです。
我々が、常識的に考えたような方法以外でも、魚が釣れる可能性があるのが、ルアーフィッシングというものなのでしょう。
ですから、ちょっとしたアイデアが閃いた時には、「こんな方法では釣れないだろう」などと、すぐには諦めずに、何でも思いついたことは常識にとらわれず試してみることが大切なのかもしれません。
