小さな里川で釣りをしていた時のことです。
川を釣り上がっていると、何度も同じ鷺に出会いました。
私が近づくと鷺が上流に飛んでいき、また接近すると上流に飛んでいくということを繰り返していたからです。
自分のせいで鷺を飛ばしている気がして申し訳ない気がしていましたが、その内に鷺が下流に飛んでいったのか、私が追い越したかのようで、姿が見えなくなりました。
夕暮れ時が迫ってきた時、私は川から上がり、川沿いの細い道路を歩いて帰り始めました。
すると、また何度も会っていた鷺が川の中に立っているのを発見したのですが、口には40センチ以上あるような魚を咥えています。
私が、その日釣った最大の魚は20センチもないほどでしたし、「そんな魚が、この川に居るの?!」といったサイズです。
鷺は、そんなグッドサイズの獲物を、「よいしょ」とでもいうようにしっかりと咥え直すと林の方に飛び立っていきました。
寝床に帰るのであり、あの魚は晩御飯にするのでしょうか。
このように、鳥との圧倒的な獲物の差を見せつけられると、やはり人間なんかでは動物にはかなわないのだなと感心させられますね。
この小さな川から一体どうやってあんな大きな魚を見つけるのか、その方法を鷺に習いたいくらいだと、私は飛び去っていく鷺の後ろ姿を見ながら思うのでした。