釣りにゃんだろう

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ハナス湖の巨大魚。

開高健氏の小説に中国のハナス湖という場所に、超巨大な魚を釣りに行く話があります。

この話だけは、開高健氏の一連の釣り関連の話の中では、かなり異色のものとなっています。

 

 

まず、狙う魚そのものが、目撃談があるだけの正体不明のものなのです。
丘の上から何メートルもある赤い魚が見えたというような話の魚を、わざわざ釣りにいかなくてはならないのです。

この謎の魚を釣るために、常見忠さんに巨大なスプーンを作ってもらったり、存在を確かめるために網を扱える漁師さんも同行させたりします。

このように完全に現実離れした雰囲気であり、もうちょっと川口浩探険隊のような、ドキュメントというよりはバラエティ寄りの企画です。

 

 

この時の様子のテレビ番組の映像も見たことがありますが、なかなか悲惨でした。
魚は釣れないし、網を仕掛ける許可が下りなかったりと、どうも中国側からは魚の正体を確かめさせてもらえないような雰囲気があります。

周りの人に乗せられてやらざるを得なかったものの、開高健氏がどこまで本気だったのかは、ちょっと疑問に思うくらい、あまり嬉しそうでもありません。

それだけに、湖のアウトレットで一匹のタイメンが釣れた時には、本当に嬉しそうな顔をしています。
きっと居るかも分からない謎の魚を釣るのよりも、正攻法で普通に釣りをしたかったのではないでしょうか。

 

 

そんなわけで、読む側としても、あまり面白い話ではないと思います。
「開高さん、大変だったなぁ」と同情が第一にくるような話ですし、「読んだことがない人は、ぜひ読んでみてくたい」とは、私はお薦めはしないでおきたいと思います。

それでも、昔のテレビはお金をかけてこんな壮大なプロジェクトをやっていたのかと、当時の様子を知ることはできますから、そういった面に興味がある方などは、一度読んでみてはいかがでしょうか。