釣りにゃんだろう

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キャッチアンドリリースとは、太平洋を自分の物にする方法。

開高健の開口閉口という本の中に、「太平洋を自分の物にする方法」という話があります。
わずか数ページのエッセイなのですが、釣り人には中々興味深いものとなっています。

 

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どんな話かというのは、5分もあれば読める長さの話ですし、開高健氏独特の無理矢理漢字を使って表現するような文章でもなく、日頃本を読まないような人にも分かりやすいので、読んでもらった方が早いと思うのですが、キャッチアンドリリースを薦めている話です。

簡単にまとめると、「湖や川に自分の逃がした魚が棲んでいると思うと、その湖や川が自分のものになったような気がしてくる」「海で釣った魚を逃がせば、その見返りに太平洋や日本海があなたのものになるのだから、逃がしてはどうか」というようなことを言っています。

 

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釣りをしていてキャッチ&リリースをしている人は、その理由を聞かれた時に、「大きくなってからまた釣るため」とか「釣った魚の子孫を残すため」など、魚を減らさないための資源面の論理的な理由を語ることが多く、このようなマインド的な理由を語る人はあまり見たことがありません。

論理的な理由を語ると、結構な頻度でイジワルな反論をしてくる人がいるものです。
「始めから釣らなければ良い」とか「一匹持ってかえったくらいでは影響はない」とか「逃がしても生きているかは分からない」といったものです。

こういった反論は、それぞれ一理あるものでもありますし、魚をリリースする側の人は、ちょっと相手をするのが面倒になったり、疲れてしまうなんてこともあるかもしれません。

しかし、この「太平洋を自分のものにしてるんだ」というようなマインド的な理由を言ったらどうならどうでしょうか?
それを聞いた人は、「はぁ、そうですか」と言うことしかできないのではないでしょうか。

 

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本来、キャッチ&リリースというものは、規則のある釣り場でない限り、やりたい人がやれば良いだけの自己満足的なもののはずです。
ムキになって自分の行いが正しいのだと論理的に説明する必要はなく、自分が正しいと思って行っていれば良いのではないでしょうか。

そう考えてみると、この「太平洋を自分のものにしてるんだ」という理由は、無駄な論理的な議論を放棄するのに、とても便利な理由で良いものの気がしてきます。

釣った魚を逃がせば、世界中の川や湖や海を自分のものにできる。
釣りとは、なんともロマンチックで壮大なものではありませんか?