テレビで芸能人なんかがルアー釣りをしている場面を見ていると、まあ無惨なキャストをしていることが多いですね。
スピニングリールのフットを指で挟まずにグリップを握ったり、フットに人差指を掛けてピストルのように握ったりと、滅茶苦茶なロッドの持ち方をするのは当たり前。
ラインをピックアップするのも、人差指の腹にかけるのではなく、ロッドと一緒に握りこんでいたりと不器用さ全開です。
そして、身体の後ろで構えたロッドを、「えいっ!」と前に振りラインを離すものの、ドボンと足元にルアーが落下するだけ。
こういったことになるのが、典型的な芸能人や釣り初心者のキャストなのではないでしょうか。
もうどこまでも間違いだらけなので、どこが悪いと指摘するのもめんどくさいレベルなのですが、飛距離が出ないという点で一番問題なのは、「後ろで構えて、エイヤと前に振る」動作だと思います。
基本的に釣りのキャストというものは、ロッドを曲げた反発力を利用して飛ばすものです。
ルアー釣りでは、重さのあるルアーを垂らした状態で、投げたい方向とは逆の方向にロッドを振ることで曲げて、それが復元してくる力を使って飛ばします。
つまり、オーバーヘッドキャストで前に投げるのなら、キャストのスタートはロッドが自分の前にある状態であり、それを後ろに振りロッドを曲げて、再び前に振りルアーを飛ばします。
簡単に言ってしまえば、「前から後ろに振りまた前に戻す」という一連の動作をするものなのです。
しかし、問題の芸能人投げでは、ロッドを一旦後ろで構えて、背負ったように停止させた状態から、エイと前に振っています。
これでは、「ロッドを曲げる」という飛ばすための力を発生させる過程がありませんから、どうしたって飛ばないのです。
この問題を解決するのは、とても簡単だと思います。
後ろで構えて投げるのではなく、「前にキャストする時はスタートが前。前から後ろに振り、また前に振りキャスト。これを途切れさせずにやる」と誰かが教えてあげれば良いだけなのです。
この超基本的なキャンスティングの原理さえ分かってもらえれば、すぐにロッドにルアーの重さを乗せて曲げられるようになり、格段に飛距離は伸びるはずです。
このことを教えるのには、一分もかからないはずなのに、現場にいる釣りを教える立場の経験者の人が教えないのか、私は昔から不思議でなりません。
「前から後ろに振ってまた前」と、たった一言教えるだけで済むような話なのにです。
これができないほど、テレビの撮影現場にいるような釣り経験者は人にものを教えるのが下手なのか、それとも芸能人は教えられたことを理解できないバカなのか、どちらなのだろうかといつも考えてしまいます。