釣り人なら誰だって、観光地で釣りはしたくないはずです。
できるだけ人が居ない、自然豊かで静かな環境で釣りをしたいと思うのではないでしょうか。
しかし、現実には釣り場と観光地が密接していることは、少なくありません。
都会から近く景色が良いような場所は、観光客を呼ぶにしても、魚を逃がして釣り人を呼ぶにしても、都合が良かったからでしょう。
特に湖の釣り場は、もろに観光地であることが少なくありません。
釣り人に観光地が嫌われる理由。
釣り人が観光地を嫌う理由として、一番に考えられるのは、人が多くて騒がしいことでしょう。
観光客がゾロゾロどバスから降りてきて話しかけられたり、目の前を遊覧船が何度も行き交ったり、音楽やアナウンスが響き渡っていたりと、落ち着いて釣りをできる雰囲気ではありません。
これらのことは、実際には釣果にはそれほど影響はないものですが、あまり気分の良いものではありませんし、釣れない理由を観光客達に押し付けたくもなってしまいます。
もう1つ、観光地が釣り人に嫌われる理由として、物価が高いことがあります。
観光客が来るような場所は、ちょっと食事などをしようとしても、かなりの値段がします。宿泊なんてしようものなら、もっとお金がかかります。
とにかく観光地では、金をとれる所からとることが徹底されていて、寺や神社や教会でさえ、もはや商業施設と化しています。
釣り人は、釣りに対しては惜しみ無くお金を使いますが、他のことにはお金を使いたくないものですから、少し離れたコンビニなどで買い物をしてから釣り場に向かい、現地ではお金を使わないという姿勢で、観光地に抵抗したりもします。
観光釣り場。
このように釣り人は、観光地や観光客を毛嫌いしながらも、他に身近に良い釣り場がないために、その喧騒の中でしぶしぶと釣りをしています。
少しでも静かな場所で釣りをしようと、中禅寺湖だったら山側というような場所に行き、気持ちを慰めています。
しかし、このような感情や考え方は、あくまで釣り人の立場から見た一方的なものであり、現地の人々から見れば、観光客も釣り人もタダの金づるでしかなく、同じようなものでしょう。
しかも、観光客よりも釣り人の方がお金を落とさないことが多いので、「朝早くからうるさいわりには、たいした金にもならない」という、めんどうな客だと思われているかもしれません。
めんどうな客でも誰も来ないよりはマシなので、現地側もしぶしぶと釣り人を受け入れているのではないでしょうか。
このように、観光地にあり、しぶしぶと釣り人が行き、しぶしぶと現地側も受け入れている釣り場のことを、一部では観光釣り場と呼ばれています。
このような状態ですので、釣り人も現地の人も、どこか荒んでいるような雰囲気であることが多く、何とも言えない嫌な空気を漂わせていることも少なくありません。
やはり、気分良く釣りをしたいのだったら、できる限りこういった釣り場は避けるべきでしょう。
自分の釣りたい魚が、そこにしか居ないなどの理由がない限りは、観光釣り場を避けた方が良いでしょう。
釣り人が来なくなれば、観光釣り場は、自然とただの平和な観光地になるはずで、もう誰も嫌な気持ちにならずに済みます。
とは言え、いくら観光釣り場を避けようとしたって、大都市圏に住む人は、他には行き場がないなんてことも少なくありません。
他に魚が普通に釣れるレベルに居る場所は、釣り堀くらいしかなかったりすることがあるからです。
ですから、つくづく釣りをするには向いていない国だと嘆きながら、これからも釣り人は観光地で釣りをするのでしょう。
釣り人と観光地のお互いに幸せになれないような関係は、今後も続いていくしかないようです。