私は昔、大きな魚を釣って、現地のおじさんに「よくやった、よくやった!わっははは!」と持ち上げられ、空中でぐるぐると回されたことがあります。
ちょうど、映画の風の谷のナウシカのラストシーン前みたいな感じでした。
魚釣りをしていると、こんな風に周りの人達から自然と祝福してもらえることがありますから、日頃は一人で釣りをしていて人間嫌いな私でも、「たまには人間っていいな」と思い直すきっかけになったりするものです。

ところで、魚を釣って誰かに持ち上げられて喜んでもらえたり、胴上げされるようなことは、どんな釣りでも体験できるわけではないでしょう。
アジングでアジを釣ったからといって、周りの人が胴上げして祝福してくれるなんてことはないはずです。
それから、ワカサギを300匹釣ったからといって、釣り場のおじさんが抱き上げて誉めてくれるなんてこともないはずです。
やはり、滅多に釣れないような稀少性があったり、巨大な魚だったりしないことには、周囲の人の心を動かし、盛り上がって喜びを共感し合うような状況にはならないでしょう。
私は、せっかく釣りをするのだったら、何匹も釣れなくたって、滅多に釣れなくたっていいですから、そんな一匹で周囲の人の心を動かせるような魚が釣りたいものだと思います。

世の中には様々な価値観を持った人がいますから、魚がじゃんじゃん沢山釣れるような釣りをしたい人もいることでしょう。
しかし、そういった釣りをしていたら、魚を釣って胴上げされるような喜びは一生味わえません。
そんな喜びを味わうためには、何度も魚が釣れなくて悔しい思いをしなくてはならないかもしれませんが、それに見合っただけの特別な体験が待っているはずです。
せっかく釣りをするのだったら、そんな体験ができるような釣りをしてみるべきなのではないでしょうか。
釣りができる人になら、誰にだってそんな体験ができる可能性があるのですから。