私は、魚がヒットしても、「バレてもいいかなぁ」と思えるくらい気持ちに余裕がある時に、たまにやってみることがあります。
立てて曲げていたロッドを、さっと下ろして、ラインにテンションが掛からない状態にしてしまうのです。
すると、さっきまで抵抗していた魚が、すっと抵抗するのを止めて、釣られていたことを忘れたかのように、平然とゆったりと泳いでいたりするのです。
皆さんも、是非試してみてください。
ルアーだとすぐにバレてじっくり観察できないことが多いので、自重がなくバレにくいフライの方がやりやすいです。
さて、この現象を見ていると、魚というものは、フックが刺さったから釣られたことに気づき暴れたり抵抗するのではなく、ラインで引っ張られることによって、自分が釣られたことに気づくのではないかと、推察できます。
この傾向は、どうも大きな魚ほど顕著な気がします。
見えている大きな魚をフッキングすると、ぐいぐいとこちらが引っ張っても反応が薄く、「あれ?掛かってるよね?」と一瞬戸惑うくらいの間があった後に、ようやく暴れだすことがあります。
身体が大きい分、かなりの力で引っ張られないと、釣られたことに気づかないのかもしれません。
このことを利用すれば、あまり暴れさせずに魚を釣るということが可能かもしれません。
魚は、こちらが引っ張れば引っ張るほど、釣られまいと抵抗するわけですから、無理のきかない場面では、無暗に寄せようとしてこない方が良いはずです。
ラインを張らず緩めず、出さず巻かず、「のべ竿の釣り状態」の絶妙なテンションで魚をその場で少しだけ暴れさすようにすると、魚種にもよりますがジワジワと疲れさすことができます。
また、魚の頭をこちらに向けた状態で、ゆっくりと一定のスピードでやんわり寄せてくると、思いの外、魚が抵抗しないこともあります。
もちろん、釣れた途端に暴力的に暴れ回る魚種もいますから、一概には言えないのですが、「あまり引っ張り過ぎず、魚にできるだけ釣られたと気づかれない」のは、安全に魚をランディングするためには重要なことなのかもしれません。
それから、「もうラインが切れそうだ、どうしようもない」という時には、瞬間的に竿を下ろして、完全にテンションをゼロにしてしまうのも良いのかもしれません。
バレる可能性もありますが、魚が抵抗するのを止める可能性もあるのですから。
一か八かの賭けですが、緊急事態には意外と使える技かもしれません。
以上のように、どうも魚はラインで引っ張られることにより、釣られたことに気づき抵抗するようですから、障害物に突っ込まれそうになるなどの緊急時以外は、必要以上に強く引っ張らないのが、魚を上手に寄せてくるコツなのかもしれません。
まあ、そうは言っても、いつでも魚を掛けたら100%冷静な気持ちではいられないわけで、毎回上手く判断し行動できる自信は、私はちょっとありませんけどね。