「釣りをする人間なら、必ず読んだことがあるはずだ」と言われている書物として、ウォルトンの釣魚大全というものがあります。
この本の中には、詩を吟う場面が多く、昔の釣りというものは風流なものだったのだなと感じさせてくれます。
こういった詩の中で、私が一番気に入っているのは、『釣り人の唄』というとても短くシンプルなものです。
いかがでしょうか?
釣り人にとって、釣りというものが、人生においてどのような意味を持つものなのか、よく表されているのではないでしょうか。
また、煩わしい世の中の喧騒から逃れ、釣りに没頭する釣り人の心情を見事にとらえているのではないでしょうか。
私は、この詩を読む度に「釣りって、こういうものだよなあ。人生の哀しさや辛さを覆い隠すようなものだ」と、再確認させられます。
釣り場に行くと、楽しそうにはしゃぎ、こういった感情とは一見無縁そうな釣り人達もいるわけですが、そういう人達だって、きっとどこかに「どうしても釣りをしなければやっていられない」ような心の事情を抱えているのではないでしょうか。
そうじゃなかったら、思い通りにいかないことがほとんどのような釣りというものに、わざわざ熱心に取り組むことはないと思います。
人生の何もかもが上手くいきハッピーだったら、わざわざ釣りなんてする必要はないのではないでしょうか。
様々な雑事を忘れて、釣りに熱中しなければやっていられないから釣りをするのでしょう。
ですから、釣り人は一見、趣味に打ち込んでいて楽しそうに見えるのかもしれませんが、本当は釣りでもしないと生きていけないような可哀想な人達であるのかもしれませんね。