先日、家にあった少し古い釣り雑誌を処分する前にペラペラとめくっていると、「本流のルアータックル選び」というような記事の中にこんな記述がありました。
「北海道のアメマスと、東北のサクラマスと、関東のヤマメと、関西のサツキマスが、同じタックルで狙えるなどということはまずありえない」
私は、これを読んだ瞬間、「何をバカなことを言ってるんだ? 一本の竿で余裕じゃないか。そういうあなたの方がありえない」と思い、速攻で古紙回収の山に雑誌を積むのと同時に、「こういう話を真に受けて、いっぱいロッドを買う人もいるんだろうなぁ」とも思いました。
専用ロッドは必要か?
先程の記述のような釣りをする場合、私はちょうど一本のロッドで充分だと思います。
「ちょっと大きめの川で、30センチ~80センチくらいのトラウトを釣る」という、まさに一つのカテゴリーだと、私は思います。
この程度のサイズの魚の釣りには、そんなにロッドに気を使う必要もないでしょうし、ホームセンターにでも行って適当に7~9フィートくらいのルアー用ロッドを買ってくれば、余裕で全魚種制覇できるでしょう。
なんなら、そのロッドでシーバスだってクロダイだって釣れるでしょう。
それぞれの釣りに専用のベストマッチなロッドを使えば、釣りの快適さは上がるかもしれませんが、それで劇的に釣果が上がるとも思えません。
事実、この雑誌の記事でもたっぷりと細かくタックル選びを語っているわりには、ろくな釣れた魚の写真が載っていません。正直、エサのようなサイズの魚しか釣れていないようです。
こういった、ごちゃごちゃとタックルにこだわる人よりも、何でも使い慣れた一本のロッドで釣ってしまうような人の方が、ずっと魚を沢山釣っているなんてことも少なくありません。
釣り具メーカーに踊らされている。
このように、ろくに魚も釣れないのに、タックルに細かくこだわり、魚種ごとに道具を揃えるような釣り人がいるのは、釣り具メーカーの影響が大きいでしょう。
昔は、釣り竿といえば、ただルアーロッド、フライロッドというように、大まかなカテゴリーで売られていました。
しかし、いつの頃からか、魚種や釣方ごとに細分化されたロッドが発売されるようになりました。
どうしてこうなったかと言えば、釣り具メーカーができる限り沢山のロッドを売りたかったからでしょう。
釣り人が、一本のロッドで、どんな釣りでも済ましてしまったら、ロッドがあまり売れなくなってしまいます。
一人の釣り人に、何本でも際限なくロッドを買ってもらうためには、この方法しかなかったのでしょう。
釣り具メーカーは、ロッド以外にも、リールやラインやルアーやフックにしたって、○○用だとか○○専用設計などと謳い細分化し、少しでも釣り人に多くの物を売ろうとしています。
このような作戦の元に、現在の釣り具が売られていることは、日頃から自分の頭で考えて釣りをしていて、魚を沢山釣っている人は、すぐに気づくことでしょう。
○○用だとか○○専用だとかは気にせず、無駄に買いすぎず、本当に自分に必要なものだけ買うはずです。
こういったことに気づかず、雑誌やメーカーの言っている通りに、タックルを買い集めるような人は、初心者かあまり魚を釣ったことがない人か、はたまた自分で考えるだけの頭がない人なのでしょう。
こういった人々は、一見魚釣りをしているようで、実際には自分が釣り具メーカーに釣られているだけなのかもしれません。
くれぐれも、釣り具メーカーは魚を釣らせるために物を売っているわけではなく、釣り人を釣ってお金を使わせるために物を売っているのだということを忘れずに、釣りをしていきたいものです。