春先のこの時期になると、道東の川の上流部にはモリやヤスのような物を持って、産卵期のイトウを狙って突きにくる人が現れることがあるそうです。
それから、川に網を仕掛けてイトウを捕まえる人もいるそうです。
初めてこの話を聞いた時には、「今時そんなことをやる人がいるのか?」と疑問に思ってしまいましたが、イトウの産卵場所を見守っているような人の証言なので、確かな情報だと思います。
それから、この時期に川に網を仕掛けていた老人が落水し行方不明になり、警察や地元の消防団が集結している現場を、実際に私は見たことがあります。
その時期にその場所でわざわざ網を仕掛けて魚を獲るなんて、ほぼイトウを狙っているとしか考えられませんでした。
このように未だに昭和初期のような行動をして、数が少ないイトウを獲ってしまうのは困ってしまいますが、完全に止めさせることは無理だろうなと私は思います。
そういったことをする人達は、昔からそうやって魚を獲ることが当たり前であり、それが悪いことだとは1ミリも思っていないでしょう。
そんな価値観を持って、今まで生きてきたのですから、「産卵期の魚を突いてはいけない」というような今の時代の常識は通じないはずです。
ですから、誰が何を言おうがやりたい人はやるでしょうし、それを無理に止めさせるのも難しいのではないでしょうか。
しかし、あと10年も経てば、こういったことをする人達は、ほぼいなくなるはずです。
それは、やっている人達のほとんどが高齢者だからです。
先述の川に落ちた老人は、翌日に遺体となって発見されましたが、高齢者は川に落ちなくても時が経てば自然にいなくなるものでしょう。
ですから、何とかその時まで魚には生き残って欲しいものだと思いますが、魚を脅かすのは捕獲する人だけではないですからね、うまくいくかどうか…
本当に魚を取り巻く環境というやつは、心配が絶えないものですね。