トラウトのルアーフィッシングの世界では、近頃はスプーンであろうとプラグであろうと、シングルフックが使うことが主流になってきています。
ところが、未だに市販されているルアーには、トレブルフックが装着されていたり、頑なにトレブルフックの使用にこだわる一部の釣り人もいます。
私は、こういったメーカーや釣り人は、ちょっと頭が悪いんじゃないか、と思ってしまいます。
今回は、ルアーにシングルフックを使うとどのような良いことがあるのか、少し考えてみましょう。
バレにくい。
シングルフックは、しっかりフッキングしてしまえば、トレブルフックより断然バレにくいです。
トレブルフックは、ポイントが多いため力が分散されてしっかり刺さらなかったり、針先に掛かる力が干渉し合って外れることがあるようです。
シングルフックがバレやすい場合があるとすれば、渓流などで小さな魚が素早く動き回る場合でしょうか。
しかし、そもそもそんな小さな魚は、釣っていじめるるべきではないわけで、バレてしまった方が良いはずです。
「いくらバレなくても、シングルフックの方が、フッキングが悪いから困る」という人もいるかもしれません。
確かに針先の数が少ないのですから、シングルフックの方がフッキングする確率が低くなる気もします。
ところが、シングルフックとトレブルフックのフッキング率を、魚を釣って計算した実験では、統計学的には有意差は認められないという結果が出ています。
この実験結果を信じるならば、シングルフックの方がフッキングが悪いというのは、釣り人の思い込みなのかもしれません。
魚にダメージを与えにくい。
バーブのあるトレブルフックで釣られた魚と、バーブレスのシングルフックで釣られた魚とでは、与えられるダメージが大違いです。
先日もイトウを釣っていたら、上流から泳いできた小さめの魚がいて、目の前にルアーを落としたら釣れてしまったのですが、ひと目でトレブルフックで釣られたと分かるほど、顔の周りを大ケガしていました。
なんだか釣ってしまったのが申し訳ない気持ちになりましたし、今後この魚が無事に生きていけるのか心配になりました。
魚をリリースするならば、ダメージの少ないシングルフックを使用しないと、リリースする意味がなくなってしまうのではないでしょうか。
逃がす魚が重症を負い死ぬ確率が高いのだったら、獲って食べるのと大差がなくなってしまうのですから。
だからこそ、管理釣り場ではバーブレスのシングルフックを使うルールがあり、一部の川や湖でもシングルフックの使用が義務づけられていたり、外国ではシングルフックの使用が法律で決まっていることさえあるのでしょう。
ネットに絡みにくい。
トレブルフックを使うと、針先がネットに絡んでなかなか取れなくなったりします。
シングルフックなら、このような煩わしさとは無縁です。
トレブルフックを使用していて、魚が釣れた後にネットに絡むのならまだしも、魚をまさにネットに入れようとする瞬間に、魚にフッキングしていない針先がネットに絡んでしまうことがあります。
こうなると、その状態でルアーがネットから外れなくなり、魚はフックから外れて逃げられるなんて悲劇が起こることがあります。
せっかく掛けた魚を、最後のランディングの段階で逃がしたくなかったら、シングルフックを使った方が賢明でしょう。
根掛かりしにくい。
これは単純な話ですが、針先の数が少ないのですから、シングルフックの方がトレブルフックよりも、根掛かりする確率は減るはずです。
ルアーは拾ったものでもない限りタダではないのですし、環境保護の観点からも、少しでも根掛かりは減らすべきでしょう。
以上のように、トレブルフックよりもシングルフックを使用した方が、良いことが沢山あるのです。
どれもそんなに難しいことではないのですし、これだけのことを理解できない一部の釣り人が存在しているのが、不思議でなりません。
トレブルフックからシングルフックに変えると、バランスが変わり、ルアーの泳ぎが変わってしまう、と言う人もいますが、その程度で釣れなくなるルアーなんて、そもそもあまり釣れない物でしょうし、実際の釣果にはほとんど影響はありません。
どうしても気になるのなら、フックのサイズや軸の太さやスプリットリングの仕様で、重さを調整できるはずです。
こう考えてみれば、トレブルフックを使用する利点は、ほぼなくなるわけで、ルアーにトレブルフックを付けている釣り人は、時代遅れで頭の弱い釣り人と言ってしまってもよいのかもしれません。
