キャスティングという釣り具屋というと、現在はダイワの傘下に入っていて、テレビCMが流れているくらい、きらびやかな釣り具屋となっています。
キャスティングというお店自体は、数十年前からあったものですが、今とはかなり雰囲気が違うものでした。
私が子供の頃、市内にキャスティングがありましたが、そう簡単に行ける場所ではありませんでした。
バスと電車を乗り継ぎ、さらに15分ほど歩いて行くか、親に車に連れて行ってもらうしか方法はなく、たまに行けるだけでちょっと嬉しくなったものです。
他に市内で大きな釣り具屋というと上州屋がありましたが、上州屋には自社製品が多く、キャスティングとは品揃えが違いましたから、キャスティングに行く独特のワクワク感のようなものがあったものです。
当時のキャスティングは、現在のキャスティングなどの釣り具屋のように綺麗に整然と商品が並ぶ感じではなく、どこかごちゃごちゃとした昔の釣り具屋独特の雑多な感じがしたものです。
各メーカーの有名な品物は、一通り揃っていた気がしますが、子供に手を出せたのは、そういったものではなく、まさに雑多な雰囲気を醸し出していた、ワゴンに大量に突っ込まれていた安売りのルアーなどでした。
こういった物は、聞いたこともないようなアメリカメーカーの得体の知れないルアーが多かったですが、なんと直輸入品らしきラパラの物も結構売られていました。
今では信じられないかもしれませんが、直輸入品の出回っていた当時はラパラのプラグは、ワゴンに大量に突っ込まれていたセール品だったのです。
ラパラは、そんな扱いのルアーだったので、当時の私はあまり信用もしておらず、かなり邪険な扱いをして、よく根がかりさせて無くしたりしていたものです。
本当に無知というものは、恐ろしいことですね。
それでも、当時の生き残りのカウントダウンなどが数本残っていて、たまに今でも活躍しています。
そんなわけで、私が子供時代のキャスティングは、ちょっとごちゃごちゃとしていて、安売りのラパラが山積みになっている、今となっては夢のような所だったのでした。
あれから時は流れて、キャスティングはフィッシャーマンなどの他チェーン店と統合され、ダイワがやっている小綺麗なお店になってしまいました。
品揃えも良いですし、たまに急に必要な物ができた時には、釣り具屋嫌いの私も利用するくらい便利なものですが、やはりちょっと寂しい気がしてしまいます。
子供時代に感じていた、あのごちゃごちゃ感やワクワク感を、もう感じることができないからでしょうか。