この夏、私は大きな木の下に立って、鳴いているセミがどこにとまっているか探してみましたが、なかなかセミの姿を見つけることができずに、現役でセミを捕っていた子供の頃と比べると随分と下手くそになったなと思いました。
そして、少し身体を動かすと、セミがこちらの気配を感じたのか鳴きやみかけましたが、その瞬間にピタリと動くのを止めると、またセミは鳴き続けます。
そして、また少し身体を動かすと、セミの鳴くペースが弱まり、また動くのを止めるとセミは全力で鳴き始めるということを、何度か試しているうちに、これは魚釣りに通じるものがあるなと思いました。
私は、子供の頃にセミを捕っていたから、自分がどんな動きをしたり、どれだけ接近したら、セミが鳴きやんで逃げてしまうか、感覚的に知っています。
魚を釣る時にも、「これ以上魚に近づいたら、こちらの存在に気づかれてしまうな」という距離や自分の動作をなんとなく知っていますから、それを考慮して釣っています。
こういった、生き物にこちらの気配を気づかれないための距離をとる感覚は、子供の頃から生き物と触れあって生きていれば、自然と身につくことだと思います。
こういった感覚があれば、魚釣りなんかでは、かなり有利になるでしょうし、この感覚が理解できない人は、魚に逃げられまくったり、必要以上に距離をとって難しい釣りをしなくてはならなくなったりすると思います。
近頃は、タワマンのような巨大な牢獄に住み、風や土の匂いも知らず、生き物を追いかけたこともない子供時代を過ごす人もいることでしょうが、そういった人達が釣りをしても、相当苦労することになるでしょうね。
生き物に逃げられないための適切な距離のとり方を知らないでしょうし、そういった感覚的なことは、大人になってからでは、もう身につけることは難しいはずですから。