テレビの釣り番組を見ていたら、「ちょっと、この人はできそうだな」という雰囲気のお姉さんが出ていました。
タイラバでマダイ釣りをしていたのですが、揺れる船の上での佇まいに余裕が感じられますし、ちょっとツンツンした雰囲気で、同船のベテランの男性とも堂々と渡り合っています。
それもそのはずで、その人は普段は遊漁船の船長をしているそうで、海の上で暮らしているプロだったわけです。
そんなお姉さんがマダイを釣ると、興奮して嬉しそうに、「ありがとう!またくるね!」と言ってリリースをしていました。
私は、この言葉を聞いた瞬間に、なんだか可笑しくて吹き出してしまいました。
釣られた魚からしたら、また来られて、また釣られたりしてしまったら、たまったものではないでしょう。
「あなたみたいな釣りの上手な人は、もう来ないでくれよ」というのが本音でしょうし、私が釣られた魚だったら苦笑いしていたと思います。
まあ、それにしても、日頃から散々魚を見たり釣ったりしていて、堂々としてツンツンした雰囲気を持っている人が、一匹の魚を釣った途端に、こんな素直な言葉を発するようになるとは、やはり釣りというのは良いものですね。
ああだこうだとテクニックを語っているような釣り人も、一度魚が釣れてしまえば、子供のように素直な人間に戻ってしまうわけです。
人間に一瞬で純粋さを取り戻させてしまうような力が、釣りと魚というものにはあると思います。
もしかしたら人は、こんな素直なありのままの自分を取り戻すために、釣りをしているのかもしれません。
魚というものにはこのような力があるものなのですし、どんな魚にも、釣れてくれた魚には一匹一匹に感謝して、「ありがとう!」と逃がしてあげたいものです。
まあ、「また来るね!」は言わない方が良いのではないかと、私は思ってしまいますけどね。