今日では、ルアーでスズキを釣る人の大半の人が、その対象魚のことをシーバスと呼びます。
私は、多少スズキ釣りをしていたこともあるのですが、スズキのことをその頃からシーバスとは基本的に呼ばず、今でも釣り人と話す時にはシーバスという言葉をできる限り使わないようにしています。
このようにしている理由は、シーバスという言葉の成り立ちにあると言えます。
なぜスズキがシーバスと呼ばれるようになったか。
シーバスというのは、スズキの英語名をカタカナにしただけかと思っている人も若い人の中には居るかもしれませんが、そうではありません。
スズキがシーバスと呼ばれるようになったのは、意外と歴史が古く、1970年代あたりのことのようです。
故西山徹さんは、著作「海のルアーフィッシング」の中で、『11PMの釣りのロケをやっていた時代に、スズキを「ジャパニーズ・コモン・シーバス、略してシーバス」と呼ぼうと提案した』というような記述を残しています。
この記述が正しければ、スズキをシーバスと呼び出したのは、西山徹さんであり、シーバスというのは完全なる和製英語です。
英語でシーバスと言うと?
ジャパニーズ・コモン・シーバスというのは、おそらく「日本にありふれた海のバス」というような意味でつけられたのではないかと思われます。
「日本の身近な海に、良いルアーのターゲットが居る」ということを、西山さんは表したかったのだと思います。
しかし、これがシーバスと略されてしまうと、ちょっとややこしいことになってきてしまいます。
英語にもseabassという単語はありますが、これはハタの仲間のことなどを表すそうです。ヨーロピアンシーバスというスズキに少し似た魚も居るようですが、単にseabasssと言ってしまえばスズキを指すことにはならないはずです。
ですから、シーバスと言うと、英語圏の人には通じないどころか、違う魚だと思われかねないのです。
私は、和製英語というものは、「英語がよくできないくせにカッコつけちゃってる痛い日本人」的なイメージを持っており、あまりカッコ良くないと思うのですが、シーバスという言葉は、混乱を招くことから普通の和製英語よりさらに悪質だと思います。
例え、英語圏の人と話す場合でなくても、日本人が意気がって「シーバス、シーバス」と言うのは、なんともカッコ悪い気がしてなりません。
英語が得意なわけでもないのですし、変にカッコつけてシーバスなんて言わなくても良いのではないでしょうか。
スズキは日本にしか居ない魚なのですし、外国の人に紹介する時だってスズキと呼んで良いはずです。
スズキをシーバスと呼ぶのは、なんとも痛くてダサい感じがしてしまうのですが、こう思っている私はかなりの少数派なのでしょうか。