川の砂底や泥底になっている場所にウェーディングすると、土砂を巻き上げることになり、もくもくと濁った水の帯が自分の立ち位置から下流に流れていってしまいます。
部分的に濁った不自然な状態になりますから、魚を警戒させかねない行為だと思いがちですが、私はそんな心配は要らないと思います。
それどころか、これのお陰で魚が釣れることさえあるのではないかと考えています。
もくもくと土砂の煙を下流に流すと、その中には小魚の餌になる小さな水棲昆虫などが含まれているからか、ウグイや小さなヤマメなどが集まってくることがあります。
そういった小魚が豊富に居る、日本なら北海道のような川に限られた現象ですが、自分が立っている下流側の濁りの中に、キラキラと小魚が泳ぎ回り盛んに餌を食べている様子が観察できるのです。
この状態は自分が立ち込んで、時々足を動かして土砂を巻き上げる限り永遠と続きますし、かなり下流まで広範囲に見られます。
そうこうするうちに、そんな小魚の帯につられて現れたのか、もっと大きな魚が小魚をガバッと襲いだすことさえあるのです。
そんな時は、そこを狙ってルアーなりフライなりを流し込めば、エサを追い回しているやる気のある魚が一発で釣れるなんてことになることもあります。
実際に私はこのような状況で魚を釣ったことがありますから、ウェーディングして土砂を巻き上げることは、魚を誘きだすことに繋がることもあるということでしょう。
もっとも、この作戦は、魚のあまり居ない川や、魚がスレまくっている川では通じないはずです。
自然環境がある程度保たれている川なら、こういったことは当たり前のように起こるものでしょうが、そうはならないのが日本の多くの川の現状ということなのでしょうか。
川を歩いて濁らせたら、小魚がわらわらと無数に集まってくる。
釣りは最低限、こんな環境でしたいものですが、そうもいかないことが多いのは、とても残念です。