去年の春先に知り合いに頼まれて、何日か田植えの補助の仕事をしたことがあります。
苗を運んだり、田植えする前の田んぼを軽く整えたりしたのですが、まあごく普通の畑仕事といった程度の運動量でした。
決して楽チンとまでは言いませんが、困るほどではなかったので、ちょっとした小遣い稼ぎにはちょうど良かったです。
その現場には同い年の人がいて、休憩の時に「疲れませんか?」と心配してくれたのですが、私は「いやぁ、釣りの方がずっと大変ですから」と答えました。
そうさっと答えるくらいには、明らかに釣りの方が体力的には大変だったのです。
考えてみれば、おかしな話です。
私は田んぼで一日働けば、12000円くらいは貰えるのです。
それよりしんどい思いをする釣りをしても、お金が貰えるどころか、釣り具だ交通費だ入漁料だと、お金がなくなるばかりなのです。
しかも、ろくに魚が釣れないことが、いくらでもあるではないですか。
こんな風に、ちょっと真面目に肉体労働をしてみたりすると、釣りというものはなんて非効率的で無駄な行為なのだろうかと、実感させられてしまいます。
それでも、私は良いと思うのです。
本当に面白いことは、危険なことか無駄なことの中にしかないと、昔から考えて生きていますし、「何やってんだろうな」と自分で時々思ってしまうようなことこそ、自分の人生においてやるべきことだと思っているからです。
釣りというものは、こんな無駄なことの素晴しさが分かる人にしか、受け入れられないほど非生産的なものだと思います。
近頃は、何かと生産性がどうとか言うような人達が増えているようですが、ああいった種類の人達には、こんな無駄でしょうもない趣味は、なかなか理解してもらえないかもしれません。