以前、とある湖でトラウトのルアー釣りをしている人達を観察していると、なかなか釣れない人の共通点として、今時のハイギアのスピニングリールを使っているということがありました。
たまたまそうだったということもあるでしょうが、リールのギア比が釣果に影響を与えることもあるのではないでしょうか。
今回は、そんなハイギアのスピニングリールについて考えてみましょう。
リールの巻き取り速度はこんなに違う。
スピニングリールは、ギア比やスプール径などの違いにより、機種ごとにハンドル一回転で巻き取れるラインの長さが違うものです。
例えば、私がたまに使うカーディナル66という古いリールは、ハンドル1回転で平均53㎝のラインを巻き取ることができます。
アブ オールドリールの巻き取り速度 (カーディナル、アンバサダー等) - 釣りにゃんだろう
一方で、今時のリールであるダイワのセルテテートの4000番のLT3000-XH(エクストラハイギア?)というモデルでは、ハンドル1回転で平均93㎝も巻きとることができます。
これは、極端な例ですが、リールというものは機種によって、巻き取れる速度がかなり違うものなのです。
ですから、たまに「1秒間にハンドル1回転」といったような表現で釣り方の説明が行われていることがありますが、リールの機種によって巻き取り速度は全然違うのですから、何の説明にもなっていませんので、参考にする場合には注意が必要です。
ハイギアのリールの特徴。
ハイギアやエクストラハイギアというような、今時のギア比の高いリールの特徴は、どういったことがあるでしょうか。
まず、当たり前ながらハンドル一回転で沢山のラインが巻き取れ、巻き取り速度が速いということがあります。
素早くラインスラッグを解消したり、じゃんじゃん速くラインを巻く必要がある釣りでは、とても便利でしょう。
それから、ハイギアのリールは基本的にはギア比が高くなるほど、巻き取るパワーが弱くなります。
これは、自転車を漕いだ時のことを想像すればお分かり頂けるかと思いますが、ギア比が高くなるほど力は落ちるものです。
ですから、強力な巻き取りパワーの必要な釣りには、ハイギアのリールは向いていないということになります。
ハイギアのリールは釣れない!?
さて、このようなリールのギア比による特徴や巻き取れる速度さえ意識して釣りをすれば、釣果に差が出るということはあまりないはずです。
管理釣り場では、ハイギアのリールでゆっくりハンドルを回転させた方がロッドがブレなくて良いなど、ちょっと強引な理由で釣り具メーカーはハイギアのリールアピールしていたりしますが、新しいリールを売りたいがためのこじつけのようなものとしか思えません。
それでは、どうして冒頭のようにハイギアのリールを使う人ばかり釣れないという現象が起きていたかというと、これはおそらくリールを使っている釣り人側が、リールの巻き取り速度をちゃんと理解して意識して釣りをしていなかったからではないでしょうか。
その湖には、アメマスやイトウが沢山住んでいて、ファストリトリーブで釣れることもありますが、基本的にはじっくりゆっくりルアーを操作した方が釣れます。
普段ヤマメなどの渓流釣りをしている人が釣りをすると、早く巻きすぎて釣れないなんてことがよくあります。
そのような場所で、ハイギアのリールの巻き取り速度を理解せずに、ノーマルギアのリールを使った時と同じ早さでぐいぐいとハンドルを回して釣りをしていたら、当然リトリーブ速度が速すぎることになり、あまり釣れないということが起きたのではないでしょうか。
このようにハイギアのスピニングリールの問題を考えてみると、どんなに便利な道具でも、それを生かすか殺すかは、使う釣り人側にそれを使いこなすだけの理解力と知恵があるかにかかっているということが分かってきます。
正直、それだけの知恵を持った釣り人が、この国にはあまり居ないような気がするのですが、気のせいなのでしょうか。