みなさんは、片軸横転リールなるものをご存じでしょうか?
タイコリールの一種で片軸リールや横転式リールと呼ばれることもあるものですが、現代の釣り人の中には、沢山知らない人もいるのではないでしょうか。
かく言う私も、子供の頃はこのようなリールがあることは知りませんでしたし、知ったのはつい数年前のことでした。
片軸横転リールとは。
片軸横転リールとは、いわゆるタイコリールのフット部分に、スプールを90度回転させられる仕組みがついたものです。
キャストする時は、スプールを回転させ、スピニングリールのスプールのような向きにして投げ、巻き取る時はスプールの向きを直して、フライリールのような向きで巻き取るものです。
非常に原始的な仕組みですが、釣りのリールとしては充分な性能である気がします。
私が初めてこのリールを見たのは、ロシアかどこかの人が、川に浸かりながらこのリールを使ってスプーンを投げ、アメマスを釣りまくっている動画でした。
完全にマニュアルでコントロールしている感じが、妙にカッコ良く見えて、「これでステラを使っている人の横で魚を釣ってみたい」と思ったものです。
糸ヨレ発生マシーン。
片軸横転リールは、現在では全く人気のないリールですから、中古屋やリサイクルショップで、ゴミのような値段で扱われています。
「よし、さっそく買ってみよう」と私は思ったのですが、レジに向かう直前で、ある事実に気がつきました。
このリールは、投げる時と巻く時に、スプールの向きを変えるものです。
こうなっていると、キャストした時のラインを巻く時にねじることになり、どんどん糸ヨレが蓄積されていく気がします。
こう考えた結果、私は買うのをギリギリで中止したわけですが、やはり最強に糸ヨレが発生するリールのようです。
このリールでルアーを投げたり、投げ釣りをしてみた人を発見したのですが、物凄い悲惨なことになっています。
やはり、投げっ放しにしておく餌釣りなどならなんとか使えるかもしれませんが、キャストとリトリーブを繰り返すルアーフィッシングには、かなり相性が悪いリールのようです。
となると、あの時私が見たロシアのオジさんは、どうしてトラブルなく次々とアメマスを釣り上げていたのでしょうか?
横転させずに重いルアーで投げるとか、何かコツのようなものでもあるのでしょうか?
こんな糸ヨレ発生装置を使いこなして釣りをするなんて、ますますカッコ良く思えてきてしまいます。
今でも時々、私は片軸横転リールをレジに持っていこうか、時々悩んでいます。
「お前に使いこなせるのかな」と、ボロボロの丸いリールが、ワゴンの中から語りかけてきている気がしてならないのです。