釣りにゃんだろう

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オールドタックルに憧れたきっかけ。

日本人には一定数のオールドタックル好きがいるようですが、そもそもそういった人達が海外メーカーのタックルに憧れたきっかけは何だったのでしょうか?

これは、やはり日本でルアーやフライの釣りが広く知られるようになった当時の本や雑誌の中で、写真付きで紹介されていたことが大きいのではないでしょうか。
そんな中でも、強烈に人々に舶来タックルに憧れさせるきっかけとなったのは、一連の開高健の釣り関係の作品だと思います。

 

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私は、全くもってリアルタイムに読んだ世代の人間ではありませんが、それでもあの文章を読み写真を見てしまったら、「今の釣り具よりカッコいいな」と思って、現行の釣り具への興味を完全に失ってしまいました。

何十年も後に読んだ人間にさえ、これだけ影響を与えることがあるのですから、リアルタイムで読んだ若者達には、舶来の釣り具が、それはそれは魅力的に思えたのではないでしょうか。

実際に、当時はアブのアンバサダーを苦労して手に入れて、嬉しくて一緒に寝たなんて人もいたそうですし、今時の人が高級機種のリールを買うのとは比べものにならないくらいの憧れを描いていたようです。

 

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当時は、舶来タックルを手に入れるのが本当に大変だったのだろうなということは、開高健の作品からも読みとることができます。
文章中では、アブだフェンウィックだといった釣り具に触れられることが多いですが、よくよく写真を見てみると、オリムピックの物やパクリっぽい国産メーカーの物らしきタックルも写りこんでいます。

これは、人気作家の取材をもってしても、タックルを海外メーカーの物で揃えることができなかったということでしょうから、庶民の若者が手に入れるのは大変だったに違いません。

 

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まあ、当時は簡単に手に入れることができなかったからこそ、それを手に入れて使うことで、今はより釣りを楽しめている人が居るという側面もありそうですから、これはこれで良かったのかもしれません。

今のように何でも望む物を手に入れらる時代と違って、多少は苦労があっても、強く憧れる物がある時代の方が、ずっと人々の心は豊かだった気がして、私は当時の釣り人達を少し羨ましく思っています。