釣りにゃんだろう

猫のように気まぐれに 独断と偏見に満ちた釣り情報をお届け

奥入瀬川のサーモンフィッシングの思い出 前編

もう休止になって何年が経つだろうか。
数年前まで、青森県奥入瀬川でサケ有効利用調査が行われていて、気軽に川でサケ釣りをすることができた。

 

f:id:nyandaro:20181031092823j:plain

この場所の特徴としては、1日制限人数に達していない場合は、事前に申し込みしていない人でも当日参加できるといシステムがあることだった。

おそらく、始めた頃はこのようなことはなく、参加者が減ってきていたから可能になったことだったのだろう。

休止になる数年前の11月のある日、「なんかこうガツンと強烈な釣りがしたいな」と急に思い立ち、当日申し込みでもサケ釣りができるこの川を見つけだし、急遽でかけることにした。

 

思い立ってから三日もたたないうちに、空席だらけでガラガラの夜行バスに揺られて、川から数キロ離れた地点へ。

たまたまネットで見つけた夜行バスの停車場は、大学の地方キャンパスの前だかで、自分以外に降りる人は、やはり大学生くらいの若者が二人居るだけだった。

ウェーダー、ヘビーなパックロッドを入れたロッドケース、リールなどを全て詰め込んだバックパックを背負って、朝の町を一時間ほど歩いて川へと向かう。
通勤中の車と通学中の高校生の自転車が行き交う国道を、大荷物を背負って歩く姿は、さぞかし異様なものだっただろう。

 

 

f:id:nyandaro:20181031093003j:plain

秋の朝のよく冷えた空気は、どこか切なく気持ち良く、四駆の軽自動車が妙にたくさん走っているのや、コンビニの入り口に前室のようなものついているのを眺めていると、北国に来たのだと実感が湧いてくる。

予定通り、ちょうど受付開始時間のあたりに、河原の土手にある管理棟にたどり着くことができた。
大荷物を背負って、ふらっと歩いて来た姿を見て、漁協の人らしきお爺さんは「どこからどうやって来たのか?」と驚きを隠せない。

当日申し込みは時間がかかりそうなので、一通り他の人達の受付けが終わるのを待ってから、受付の小屋に向かう。

 

 

椅子に座らされて、あれこれと手続きをするのは、なんだか落とし物でもして交番にでも来たような感じだ。
しかし、対面しているのはお巡りさんではなく、元気なお姉さんだという違いがあった。
こういった釣り場には、だいたい元気なお姉さんが居る気がするのだが、そういった場所は良く釣れることが多い気もする。

さて、今日もその通りに良く釣れるのかどうか。

無事に釣りの許可を受けて、さっそく目の前の川に向かった。
管理棟の目の前は堰堤になっていて、確実にサケがたまっているようだった。

 

f:id:nyandaro:20181031093212j:plain

 

現にエサ釣りの人がサケを掛けて、細山さんのように腰を落として踏ん張っている最中だ。
ちょっと釣り堀のような雰囲気だが、まだちょっとサケの遡上は少ないようだし、あまり混んでもいないので、とりあえずは確実に魚の居るこの場所で始めてみることにした。

ロッドは、キャスティングウェイトが42グラムまでの表示のあるパックロッド。リールは、大型であまり使う機会のないカーディナル57にした。
ラパラのリーズナブルなナイロンラインの20ポンドの先には、これまたリーズナブルなダイワのクルセイダーの13グラム。

 

f:id:nyandaro:20181031093809j:plain

 

水没したコンクリートの護岸に立ち、ルアーをキャスト。

堰堤下の巨大なプールは、流れが強い所や弱い所、巻き返しなどがあり複雑で、深さも場所によってまちまちだ。

魚は至る所に居るようだが、どこの魚でも釣れるわけではないだろう。
どこを狙えば良いのかよく分からないが、岸から二番目の流れの強い筋を流していると、ルアーの流れが止まった。

すかさずリールのハンドルを回してみると、生物感が伝わってきたので、自信を持って合わせた。

 

 

f:id:nyandaro:20181031093922j:plain

望み通り、ガツンと強烈な引きだった。
釣り堀みたいなロケーションだが、釣り堀でこれだけヘビーなタックルを使って、強烈な釣りができるはずがない。

水面まで降りられる浅場の岸に導きランディングしたオスのサケの回りには、大根の葉っぱが流れついていた。
どこか上流で大根が洗われていて、流されてきたものだろう。
なんだか、風情があっていいじゃないか。

夜行バスに揺られ続けて寝不足気味の頭に入ってくる視覚からの情報は、ぼんやりとしておとぎ話の中に居るようだった。