トラウトの管理釣り場での釣りの愛好者達の間では、村田放流なる言葉があるらしいです。
これは、グランダー武蔵のミラクル・ジムのモデルとしてお馴染みの村田基氏が、取材に来る直前に、管理釣り場が積極的に放流することを表す言葉のようです。
これが行われると、取材時によく釣れるのはもちろん、その直後に釣りに行った人も好釣果に恵まれるそうです。
その一方で、テレビ番組などでその様子を見てから釣り場に行った人は、見てきたようには魚が釣れず、ギャップを感じたりするらしいです。
真偽はともかく。
これらのことは、噂のようなものですし、私は管理釣り場の釣りには詳しくないので、村田放流なるものが本当にあるのかは分かりません。
しかし、普通に考えてみれば、このようなことが行われるのは、当たり前のことではないでしょうか。
管理釣り場は、当然お客さんが沢山来てくれた方が儲かります。
テレビ等で、よく釣れたり大きな魚が釣れる様子が流れれば、それだけ視聴者には魅力的な釣り場に見え、やってくるお客さんも増えるはずです。
ですから、取材の前にはいつも以上に、よく釣れたり大きな魚の居る状態にしておくのは、当たり前のことでしょう。
魚を逃がすのにはお金が掛かるものですが、来客が増えて、支出以上に利益がでれば、その放流は成功ということになります。
もしかしたら、管理釣り場の中にも、「普段以上に釣れる偽りの姿を見せたくない」と思い、平常通りのコンディションにするクソ真面目な釣り場もあるかもしれませんが、だいたいの管理釣り場は、利益を最優先に考えて行動するはずです。
損をするのは視聴者。
さて、このようなことが行われば、まず取材する側は大変助かります。
釣りの取材において魚が釣れないほど困ることはないのですから、ある程度釣果をコントロール可能な管理釣り場というものは、とてもありがたい存在なのではないでしょうか。
一方で損をするのは、番組を見てから行った視聴者かもしれません。
せっかくテレビで見た釣り場に来てみたものの、その放流の効果が薄れてきた時だった場合には、テレビで見たようなサイズの魚がいなかったり、数も少なかったりすることがあり、がっかりするかもしれません。
そして、あまりにそのギャップが大きければ、その人は頭にきてもう二度とその釣り場には来なくなるかもしれません。
また、「騙された」というような悪評を流す人もいるかもしれません。
現在は、噂や口コミがあっという間に拡がる世の中ですから、その管理釣り場の評判自体を落とすことになるのかもしれません。
ですから、取材前の放流をやり過ぎてしまい、普段とのギャップを作り過ぎてしまうのも、管理釣り場としては危険なのかもしれません。
そういった微妙なさじ加減でギリギリの調整が行われているものを、我々は日頃テレビで見ているのでしょう。
このように、管理釣り場というものは、ある程度釣果がコントロール可能である特殊な釣り場であり、取材時には調整が行われているのは当然と考えて良いのではないでしょうか。
よって、管理釣り場がメディアで取り上げられている場合に、視聴者側としては、見るもの全てを信じてはいけないと思います。
「テレビでこれくらい釣れてるんだから、この半分くらいは魚がいるのかな」と思うくらいにして、もしその釣り場に行くとしても、過度な期待はしない方が良さそうですね。