釣りにゃんだろう

猫のように気まぐれに 独断と偏見に満ちた釣り情報をお届け

二日間釣り禁止令。

ちょろちょろと流れるシャワーを浴びたら、さっそくベンチでの酒盛りに加わる。

まずは、足の傷を医者であるハンサム君のお父様に診察してもらう。
「これは、最低でも二日間、靴を履いても釣りに行ってもいけない」
と、厳しい診断を受ける。
一緒に帰ってきてもらったりと、ここまでしてもらうと、ちょっと無理をすれば釣りに行けそうだが、この言いつけを守らないわけにはいかなくなってくる。

 

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昔、小学校の保健室で見たような懐かしい赤黒い色の液で消毒されてから、チューブに入った謎の薬を数種類塗ってもらう。

傷薬以外にも、お父様はあらゆる薬を携帯しているらしく、メンバーに何か不具合があると、すぐに薬を処方するのだった。
「釣り人の中に、お医者様はいらっしゃいませんか~?」と声がかかれば、すぐに立ちあがって処置ができそうな感じだ。

手当てが終わると、さっそく他のメンバーが、まあとりあえず飲もうよ、と並々とウォッカをグラスに注いでくれた。

 

なんでも、今朝120センチのタイメンを釣ったらしくご機嫌だ。
釣れた場所は、この数日ですでに2本釣れている、いつもの場所だと言う。

「遠くまで行ったうちらの釣果より、ずっとデカイじゃないか」
と誉めると、さらにご機嫌になって、次から次へとウォッカを追加してくれる。

もうしばらくは釣りにも行けそうもないのだし、いくらでも飲んで構わないのだ。
そう思うと気が楽になり、のびのびとこの場所での生活を楽しめるようになってくる。

「小さいのしか釣れなくて、人の写真を撮るばっかりで、自分が魚を抱えた写真をまだ撮っていないよ」
と愚痴ると、いつもの優しい男が、「魚は、大きさが全てではないと思うよ」と慰めてくれる。
素直にその言葉を受け入れられれば、もっと楽な気持ちになれるはずなのだが。

 

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食事の時間になって食堂に行くと、おばさんが「その足はどうしたの?もっと食べな食べな」と、僕にひたすら何度もおかわりをくれる。

他のメンバーはちょっと食べただけで帰ってしまったので、一人だけ取り残され、スタッフ達と一緒に食事をとることになってしまった。

これは良い機会だと思い、日本からバッグに忍ばせてきたおみやげにビールを添えて、みなさんに配る。
ラジカセで音楽をかけながら、飲み食いをして、なんだか今日は、賑やかで楽しい日だ。

それからも、焚き火を囲んで、メンバー達と外で飲み続け、暗くなり始めたら、各々部屋に戻り眠ってしまった。
今日は、もう誰も釣りに行くなんてこともないのだ。

いよいよ何をしに来たのか分からなくなってきたな。
僕は、一瞬だけ正気を取り戻して、深い溜息をついてから、一人っきりの部屋のベッドの中で眠りについた。
静かな夜だ。