テレビでテンカラ釣りの名人のような人が、初心者に毛鉤作りを教えていて、上手く綺麗に仕上げられなくて心配そうにしているその人に、「絶対に釣れる針はないけれど、絶対に釣れない針はないですから大丈夫です」というようなことを言っていました。
私は、そんな台詞を聞いて、さすが名人だなぁと関心してしまいました。
正直、毛鉤なんてちょっとやそっとの出来の違いでは、釣果に差はでないものでしょう。
むしろちょっと下手くそで、雑な作りのものの方がよく釣れることだってあるはずです。
名人は、この事実を素直に受け入れ、細かいことはどうでもいいのだと、初心者が作った雑な作りのものでも大丈夫だと、言い切ってしまっているのです。
釣り人というものは、やればやるほど細かいことにうるさくなりがちですが、そうしているうちはまだまだなのでしょう。
どうでもよいことはどうでもよく、細かいことにこだわったところで変わらないのだと、素直に認める域までいけてこそ名人なのかもしれません。
ですから、ああだこうだと、ぐちゃぐちゃと細かい説明をするような人は、まだまだということなのでしょうし、雑誌や動画なんかで「これじゃないと釣れない」というような、こじつけのような説明する人は信用できないのではないでしょうか。
「これじゃないと釣れない」なんて言っている人ではなくて、「これでもそれでも釣れるよ」と言う人ほど信用できる釣りが上手な人なのだと、私は思っています。
どうも釣りの世界には、そんなエセ名人が溢れているようですから、注意が必要なのではないでしょうか。