以前、昭和の時代に130㎝オーバーのイトウを釣りまくっていた人に話を聞いたことがあるのですが、その人はルアー釣りとエサ釣りの両方を使い分けていたそうです。
やはり、釣りというものは、エサの方がルアーより釣れるなんて単純なものではなく、状況によって有利な方法は変わってくるので、達人レベルに釣るには、しっかり使い分ける必要があるということなのでしょう。
そんな中で、エサとしてよく使っていて一番効き目があったのは、ドジョウだったそうです。
エサの定番ドジョウ。
イトウのエサ釣りが盛んに行われていた時代には、エサはドジョウが定番だったと本などではよく目にしていましたが、実際にドジョウで釣っていた人に出会ったのは、私は始めてでした。
なんでもその頃は、本州のドジョウが釣りのエサ用として北海道で販売されていたそうで、調達が容易なエサだったそうです。
わざわざ本州からドジョウが輸送されて売られていたなんて、どれだけエサ釣りが盛んだったんでしょうか。
そして、ドジョウは針を通して沈め底を引いてくるという、ルアー的な使い方をしていたそうです。
釣り上げた巨大なイトウを家族5人で抱えている写真も見せてもらったので、その効果が絶大だったのは確かなようです。
ヒラメ釣りにもドジョウ。
そう言えば、昔はドジョウがエサに使われていた釣りとして、ヒラメ釣りも有名です。
ヒラメ釣りでも、ドジョウを使って、おそらくイトウ釣りと同じような仕掛けを作り、サーフからキャストして底を引いていたと、本などで紹介されています。
海のヒラメと川のイトウに、同じような仕掛けが使われていたなんて、ちょっと不思議な気もしてきますが、これにはイトウ釣りのヒントが隠れている気もします。
ヒラメとイトウの共通点。
ヒラメは基本的には海底にいて、ボトム付近で釣る魚です。
それから、イトウも、年輩の人などは「底を引かないと釣れない」と言い、ボトム付近に居ることが多いとされています。
海と川という差があるとは言え、ボトムを攻略するべき点は同じであり、このことが同じドジョウの仕掛けが使われていた理由なのでしょう。
現在では、そこまでボトムにこだわらなくても、様々なルアーやフライでイトウはいくらでも釣れることが分かっています。
しかし、ドジョウで底ばかり狙って釣られていた時代の釣果の巨大さというものは、今とは比べ物にならないほど凄いものです。
今よりも魚の数が多かったことを考慮してみても、驚異的な魚が釣られています。
どうも、大物だけを効率よく釣っていたような気配があります。
やはり、状況次第ではあるのでしょうが、「イトウは底を釣れ」ということは、今でも忘れてはならない大事なことなのではないでしょうか。
ドジョウ引き伝説は、基本を忘れてはならないということを、今でも教えてくれている気がします。