私は子供の頃、近くまで家族と旅をしたついでに、長野県の木崎湖という湖で、数時間バス釣りをしたことがありました。
その時は、なんて景色の良い場所なのだろうかと思い、なかなか思い出深い場所になっていたのですが、大人になってから近くを通る度に木崎湖を見てみると、「そんなに大した景色じゃないな」と思ってしまいます。
木崎湖は、景色が悪いとまでは言いませんが、平凡な湖といった感じでしょう。
他にもっと感動的な景色の湖はいくらでもありますし、今となっては子供時代の自分が一体何に感動していたのか理解ができません。
私がこうなってしまったのは、様々な場所に釣りに行き、本当に景色が良い場所をいくらでも見てきてしまったからだと思います。
釣りをしていると、いわゆる絶景と言われるような景色の中で、夜明けや夕暮れの美しい瞬間を独り占めするようなことがよくあります。
そのような体験を沢山してきてしまったために、子供の頃と比べると、景色というものに対して辛口になってしまったのでしょう。
木が生えていれば自然と呼んでしまうような観光客たちが喜んでいる景勝地と呼ばれる場所でも、釣り人目線で見ると「どこが良い景色なんだ?」と言いたくなるような場所が沢山あります。
このように、釣りをしていると景色に対して辛口になり、目が肥えてきてしまうことは、はたして幸せなことなのでしょうか?
観光客が喜んだり感動しているような景色に、何も感じなくなってしまうのですから、少し損な気がしないでもありません。
それでも我々釣り人は、まやかしではない本当に美しい景色というものを知っているのですから、やっぱり幸せなのではないでしょうか。