釣りにゃんだろう

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「一匹は一匹だ」と言うけれど… どうにも納得いかない慰めの言葉。

なかなか魚が釣れず、目標とは程遠いサイズの魚がなんとか釣れた時に、釣り人は「一匹は一匹だ」と言って納得しようとするものです。

 

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この言葉はおそらく、開高健が著書フィッシュオンの中で、魚のサイズが小さいと文句を言い出したカメラマンに、「一匹は一匹だ、女は女ではないか」というようなことを言って納得させたところから、釣りの世界に広まっていったのだと思います。

本来なら、「女は女でないか」というところまで言うことで、初めて説得力が出てくる言葉であるような気もしますが、まあ今の時代にそんなことを言ったら、怒られまくってしまいそうですから、これはこれで良かったのでしょう。

 

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さて、そんな「一匹は一匹だ」という言葉を口ずさめば、苦しい釣りをしてきたしんどい気分も少しは癒され、ちょっとした満足感を得られることができます。
そのまま、その日の釣りを終えたとしても、最悪の気分は免れて家に帰ることができます。

しかし、家に着いて、ちょっと時間がたった頃には、「はたして、あれで満足して良かったのか?」というような疑問が、ふつふつと沸いてきます。

「あの魚を釣るために、自分はせっせと準備をして作戦を立て、休みの日を作り、朝早くから起きて遠くまで釣りに行ったのか?」

こんなことを考えだしてしまったら、もう「一匹は一匹だ」という言葉の効力は完全に消えてしまいます。
釣れた瞬間のホッとした気持ちと満足感を忘れて、もうすぐにでも、次に釣りに行ける日を考えだしてしまいます。

 

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このように考えてみると、釣り人が「一匹は一匹だ」と言って満足できるのは、どうしても僅かな時間だけのようです。
ちょっとでも時間が経過して冷静になってしまうと、どうしても納得がいかない気持ちになってしまうのでしょう。
やはり釣り人を本当に納得させて癒してくれるのは、目標通りの魚以外にはいないようですね。