インスプールのスピニングリールは、旧式で不便なものだと思われがちですが、実際には手でベールが返せない程度の違いしかアウトスプールのリールとは違いがなく、それまで使ったことのなかった人でも、それほど違和感なく使えるものです。
それでは、インスプールのスピニングリールならではの良い点はないのか、今回は少し考えてみたいと思います。
コンパクトに設計できる。
インスプールのリールのスプールには、スカートと呼ばれる部分が必要ありません。
このためコンパクトに設計できるとされています。
だからと言って、今時の高級リールよりも軽いということは、あまりないでしょうし、特に現代では利点とは言えないのかもしれません。
スプールが小さいことだけは確かなので、替スプールがかさばらないという利点はあるかもしれません。
構造以外の利点。
というわけで、構造上のインスプールのリールの利点というものは、私はあまり思いつくことができません。
しかし、構造上以外の利点なら思い付くことができますし、私がインスプールの好きな理由はそういった所にあります。
まず、現代では使っている人が少なく、あまり他人と被らないという点があります。
釣り場には、基本的にギンギラ銀の似たようなリールを使っている人ばかりなので、インスプールのリールを使えば、人とはちょっと違った道具で魚を釣ることができます。
何でも他人と同じのが嫌な人には、インスプールのリールは欠かせないものでしょう。
それから、見た目が個性的でお洒落だということも、インスプールのリールの優れている点でしょう。
釣りをしない人に、ステラとミッチェル300を見せて、どちらがお洒落な道具かと聞いたら、ほとんどの人がミッチェル300を選ぶのではないでしょうか。
釣り具の見た目を重視し、お洒落なものを使いたい人には、インスプールのリールはおすすめです。
旧式で性能が低いと思われがちなことも、インスプールのリールの利点と言えるかもしれません。
大半の釣り人達からそう思われていたとしても、インスプールのリールは、釣りをするための基本的な性能は充たしていて、問題なく魚が釣れるものです。
そういった必要最低限な性能の道具で魚を釣れば、高性能な現代のリールで魚を釣るよりも充実感を得られるものです。
またそういったリールで魚を釣ると、周りの高性能なリールを使っている人々には「あんなボロい道具で釣られてしまった。何万円もするリールを使っているオレはなんなんだ」と、精神的なダメージを与えることができるという、ちょっとイジワルな力もあります。
消費社会に疑問を持っている人は、古いインスプールのリールを使って魚を釣りまくって、消費社会の象徴であるような現代の日本のリールを打ち負かせば、自分の思想の正しさを証明することができるかもしれません。
以上のように考えてみると、インスプールのスピニングリールは、「他人と同じものが嫌な人」、「釣り具の見た目を重視する人」、「金を使って物を次から次へと消費する社会が嫌いな人」におすすめだと言えるのかもしれません。
まあ、ちょっと変わり者の人にお薦めなようですね。
釣りをするだけでも、ちょっと変わり者なのかもしれないので、その中でもさらに変わり者の人々に愛されているものなのかもしれませんね。