釣りにゃんだろう

猫のように気まぐれに 独断と偏見に満ちた釣り情報をお届け

一度だけ釣りを諦めた日。

私は、クマの足跡があったり糞があっても、ちょっとヒビリつつも、あまり気にせずに釣りをしてしまっていますが、一度だけ釣りを諦めたことがあります。

その釣り場は、林道を15分ほど歩いてから、藪を突っ切ると川に出られるといような場所でした。
林道や河原に、よくクマの足跡がありましたし、一人で歩いていると大きな動物が逃げていくことが何度かありましたから、クマがよくいる場所だったのでしょう。

 

 

早朝だとちょっと怖いので、その場所に釣りに行く時には、私にしては珍しくしっかり陽が登ってから行くことにしていました。

その日も、午前10時頃に車を停めて、のんびり支度をしてから林道を歩きだし始めました。

草がぼうぼうで視界が悪く、相変わらずここはちょっと気味が悪いなと思いながら歩いていると、あと少しで林道から外れて川に向かう地点まで来ました。

その時に感じたのですが、進行方向右側の繁みの中に、何かが居るようなのです。

時折、バキッという木を踏みしめる音を出しながらも、何かがじっとしているのです。

 

 

シカだったら、とっくにぴょんぴょん逃げていくような距離感ですし、繁みから頭が出て見えるはずです。

結構大きな生き物の気配がしますし、普通に考えればクマでしょう。
よく見れば確かめられるかもしれませんが、姿を見たら怖くなってしまいますし、下手に目を合わせて刺激してしまうかもしれません。

私は、その場に立ち止まり、ちょっとだけ悩みました。

 

 

今までも何度も、今回のように姿は見えないけれど何かが居るということはありましたが、ちょっと近づくと、いつも「バキバキッ」と木を踏みしめながら、猛スピードで逃げていきました。

ですから、私がもうちょっと近づけば逃げるかもしれませんし、川への入り口はすぐそこなのです。

しかし、どうもいつもとちょっと様子が違う気がします。
こういった時は、そんな勘に従った方が良い気がします。

振り向いて背を向けたら追っかけてくるなんてこともあるかもしれませんが、向こうもじっとして隠れているだけの感じでしたので、小さな声で「今日は帰りますね~」と言ってから、私は引き返すことにしました。

 

 

幸い、追っかけくるなんてこともなかったですし、あのまま目の前をさっと通過してしまっても、問題なかったのかもしれないとも思います。

しかし、最近は人間を恐れないクマが増えているなんて話もありますし、実際に昨年はその場所からそう遠くない場所で、釣り人がクマに食べられてしまいましたから、引き返して正解だったでしょうか。

 

 

まあ、そんな無理をしてまで釣りたい魚が居る場所でもなかったですから、すんなり諦められたのかもしれませんが、あれが本気で釣りたい場所だったら、私は強行突破していたかもしれません。

そうしたら、もうこのブログは更新されなくなっていた可能性もあるでしょうけど、それが釣り人生というものでしょう。