私は、一匹の魚を釣るために何ヵ月もかけることがよくあります。
まず「来年の何月には、あそこでこれくらいの魚を釣ろう」と目標を立てます。
それから、どうしたら釣れるか考え、必要なものを集めたり自分で作ったりします。
その道具を使って、近所の川で練習してみたりもします。
そして、ようやく実行する時期がきて、狙い通り魚が釣れれば完結しますが、それで釣れなかったら、長い時にはまた一年準備期間に入ります。
このような釣りは結果が出るまでが非常に長く、忍耐力と持久力が必要となります。
魚釣り全てがこのようなものではなく、もっと気軽に沢山釣れるような釣りも沢山あります。
しかし、それでは私は満足できないのでしょうね。
魚を釣る時には、長い冬を越えて、ようやく春に辿り着いたらような喜びを得たいのだと思います。
このように苦労して魚を釣ると、たった一匹魚が釣れただけで、そこに至るまでの工夫と努力の日々を思い出し、なんだか報われたような気持ちになります。
こういった、じんわりとした深い感動は、次から次へと魚を掛けるような釣りでは決して得られないことでしょう。
それに、次から次へと魚を掛ける釣りとは違って、圧倒的に魚を釣り針に掛ける数も少ないでしょう。
私は釣りが好きですが、生き物に針を引っ掻ける、釣りというものは良くないことだと思っています。
できることならやめたいのですが、それができないで困っているのです。
ですから、あまり魚を釣らずに自分が満足できるのなら、それに越したことはないわけで、これからもできる限り、こんな魚がなかなか釣れない釣りをしていきたいと思っています。