ここにコータックのCR34という、安物のフライリールがあります。
フライフィッシングのブーム期に入門セットのリールとして販売されたせいか、市場に大量に出回っており、近頃では中古で1000円前後で売られています。
今回はこのリールを使って、簡単にできるフライリールのエイジング加工を紹介したいと思います。
あまり使う気になれないリール。
私はこのリールを中古でではなく、90年代に新品で手に入れて、小学生の頃使用していました。
その後、こういったリールを使うような釣りをしなくなってしまったので、家の奥底で長い眠りについていました。
しかし、今年になって急に小さい川で小さい魚を釣る気が出てきたので、この小さなリールを掘り出してきたのです。
そして、このリールを久しぶりに手にしてみたところ「なんか使う気になれない」という気持ちが溢れてきました。
イギリス製とのことですが、機能面には全く不満はありません。左巻きにも変更できますし、小さな魚を釣るには全く問題ないものです。
しかし、どうにも「入門セット感」が抜けないルックスで、ちょっと使う気にはなれないのです。
もっと良いリールを買おうかと思いましたが、「小学生の頃使っていたリールで再び魚を釣る」ということが、私にとっては大きな意味を持っているので、そういうわけにもいきません。
そこで、ちょっと見た目を改造してみることにしました。
アンティーク画鋲。
まずは、何か部品を取り付けてデコって、おしゃれな見た目にしようと思いました。
そこで目をつけたのが、100円ショップで売っていたアンティーク画鋲というものです。
これの針の部分を短く切り、リールの中央のコータックの鹿マークがあった部分にピンバイスで小さな穴を開け、接着剤を使って貼り付けてみました。
ちょっとは雰囲気がよくなりましたが、どうも画鋲とリール全体の使用感がマッチしません。
リール全体をアンティーク調にする必要があるようです。
5分で大変身。
さあ、ここからが本題のフライリールのエイジング加工です。
私が取り出したのは、120番の耐水ペーパー。水を使わなかったので、紙ヤスリでも問題ないでしょう。
これで適当にリール全体を擦ります。
使い込んだ時に削れ易いエッジの部分は少々念入り擦りたいところですが、適当に擦れば自然とそうなります。
あとは、掃除機で念入りに削れたカスを吸いとれば終了です。
そんなに固い粒子ではないでしょうが、ギアの方にカスが回ると悪影響を及ぼす可能性があるので、しっかりと掃除機をかけます。
どうでしょうか。
思ったよりも格好良くなった気がします。
「イギリス製」という感じも、ちゃんと出てきた気がします。
これなら魚と並べて写真を撮っても、それほど違和感は無さそうです。
やはり魚もそれなりに人生(魚生?)を重ね生きてきたものですから、写真を撮る時にその傍らに並べるものも、それなりに古いものでないと違和感があると私は思います。
銀ピカの現代のスピニングリールを使う気になれないのも、そういったことが原因かもしれません。
このリールの塗装は、軽く擦れると高級そうなつや消しの灰色になり、さらに削ると下地が簡単に見えてきます。
まさに、エイジング加工するには、最適な塗装だった気がします。
簡単に削れるので、お茶でも飲もうかとお湯を沸かしているうちに終わってしまいました。
いくらでも削れるので、削り具合や紙ヤスリの番手を変えたりして、お好みの使用感に調整することができそうです。
ただ、プラモデルなどでもそうですが、こういった加工はやり過ぎると不自然になりやすいので、そこそこで我慢しておいた方が良いかもしれません。
みなさんも使う気になれないような要らないリールがあったら、二束三文で手放すよりも、思いきって傷だらけにしてみてはいかがでしょうか。
意外と良い雰囲気に仕上がるかもしれません。