釣りは個人的な趣味ですから、誰がどんな釣りをしようが、その人の勝手であり、他人がとやかく言うことではないのかもしれません。
しかし、あまりにも変な道具の使い方をしている人を見かけると、さすがに「ちょっと恥ずかしくないのかな」とか「不便そうだな」と思ってしまいます。
そんなヘンテコな釣り具の使い方の代表的なものとして、「おっさん投げ」と「芸能人持ち」というものがあります。
おっさん投げ。
おっさん投げとは、波止などで釣りをしているおっさん達によく見られることから、こう呼ばれている、スピニングリールを使用したキャスト方法です。
キャスト開始時点では、片手でリールの脚を指に挟みラインをピックアップし、もう片方の手でロッドのグリップの下方を握るという、概ね正しい手順で行われます。
しかし、ロッドを振ってラインから指を離すと、そのままリールを挟んでいた手そのものも離してしまい、片手でロッドを持ち、仕掛けが着水するまで放置します。
とても不安定ですし、指でラインに触れて飛距離や勢いを調整することが不可能ですし、とても不便そうです。
それに、おっさん投げをする姿は、粗雑でだらしなくも見えるものです。
一体どうして、こんな投げ方をするのでしょうか。
ほんの僅かな時間、ロッドを両手で保持するのもめんどくさいくらい、おっさん達は人生に疲れているのでしょうか。
それとも、片手でロッドを突き出した方が飛距離が伸びるとでも思っているのでしょうか。
まあ、おっさん投げをする人が良く見られる、ぶっ混み釣りやちょい投げ釣りなどでは、正確なキャスティングなどは必要とされないので、この投げ方でも、特に不便なく釣りはできるのでしょう。
ところが、稀にルアー釣りをしている人の中にも、おっさん投げをしてドボンッと投げっぱなしにしている人を見かけます。
ルアー釣りでは、キャスト中にラインに触れて、飛距離を調整したり、着水する勢いを和らげるする必要がありますから、リールから手を離して投げっ放しにするのは、良くないことでしょう。
案の定、そんないい加減な釣りをしている人には、魚が釣れていることを見たことはありません。
魚を釣る気があるのなら、おっさん投げはやめた方が良いのではないでしょうか。
芸能人持ち。
芸能人持ちとは、ロッドをリールの脚の部分ではなく、グリップの下方を持って操作するものです。
芸能人などが、テレビで釣りを体験している時によく見られることから、こう呼ばれています。
一目で釣り初心者だと分かる、強烈な釣り方です。
初歩の初歩である竿の持ち方の時点で間違えているのですから、初心者以下とも言えるかもしれません。
釣りをあまりしたことがない人が、芸能人持ちをしてしまう理由として、二つほどの可能性考えられます。
まず、釣りを教える立場の人が、始めにちゃんと教えなかったか、教えたとしても、その事をちゃんと守らなかったのではないか、という可能性です。
不思議なもので、釣りをしたことのない人に、リールのついた竿を渡すと、自然と竿の下端の方を持ちたがる人が多いです。
人間は、長い物を持つと端の方を持ちたがるのでしょうか。
ですから、始めにちゃんとした持ち方を教えないと、リールの脚に指をかけずにロッドを持つ人は沢山います。
また、教えたところで、そのことを忠実に守らない人も沢山いるわけで、芸能人持ちは生れ続けるのではないでしょうか。
初心者が芸能人持ちになる理由として、もう１つリールが右ハンドルにセットされていたから、という可能性も考えられます。
スピニングリールというものは、基本的に右利きなら左ハンドルで操作するものですが、この国には右ハンドルの状態で売られたり、操作する人がいるという、不思議な状態が昔は続いていました。
そのような右ハンドルのリールをセットされた竿を右利きの初心者に持たせると、どうなるか。
リールのフットを右手で挟み操作し、左手でグリップ下方を持ち、キャストします。
そのままロッドを持ち換えずに、リールを巻き始めるとなると、自然に芸能人持ちになります。
右利きの人が右ハンドルのリールを使うと、自然と芸能人持ちになってしまうのです。
スピニングリールの右ハンドルという、道具のセッティングの間違いが、さらに間違った釣り具の使い方を生んだのが、芸能人持ちなのかもしれません。
私は、このような「おっさん投げ」や「芸能人持ち」といった、へんてこな釣具の使い方が、どうしても気になってしまいます。
たまに釣りをしたことのない人に、釣りを教える時には、一番最初にロッドの持ち方だけは、ちゃんと教えることにしているのですが、ちょっとおせっかいすぎるでしょうか。
あまり細かいことを始めから教えると、釣りが嫌になってしまうのではないかと、ちょっと心配になることもあります。
芸能人のように変な釣り方でも、自由にやらせた方が良いのでしょうか。
