以前テレビを見ていたら、深海魚を釣ることを趣味としている人が出ていて、「どんなに深い場所でも、どんなに大きな魚でも、電動リールは使わず、手巻きで釣るのがポリシー」というようなことを言っていました。
信念と情熱があり、魚と真っ向勝負を挑んでいく姿勢は、とても格好よく見え、「彼こそが本当の釣り人だ」と思えました。
それに比べて、テレビの釣り番組などを見ていると、昔では考えられなかったような小物釣りのようなものでも電動リールを使った釣りが紹介されています。
これは一体どうしてなのでしょうか?
電動リールは効率的。
電動リールは、とても便利なものでしょう。
自動で高速で巻き上げることができるだけでなく、タナも正確に決めることができます。
手動のリールで、これらの全てのことを自分の手と頭を使ってするのとでは、効率の良さや難易度が全く違うはずです。
よって、便利で魚がよく釣れるから、電動リールが幅広く使われるようになってきたのかもしれません。
しかし、いくら効率が良いからといっても、ここまで機械に頼ってすることを「釣り」と呼んでよいのでしょうか。
徹底的に効率が重視された電動リールを使った釣りは、私は最早「釣りではなく漁」なのではないかと思ってしまいます。
電動リールは儲かる?
もう一つ、電動リールが使われる機会が増えている理由として、電動リールが高価だからではないか、ということが考えられます。
高価な電動リールを使う人が増えてよく売れれば、当然釣り具メーカーは儲かるはずです。
メンテナンスや修理も必要になってきそうですし、普通のリールよりも寿命が短そうでもあるので、そういった面でも儲かりそうです。
ですから、電動リールを使った釣り方を積極的に紹介し広めたという可能性が考えられます。
本当は電動リールなど必要のないような釣りでも、テレビや雑誌で電動リールを使った釣方が紹介されたり、メーカーが盛んに電動リールを使った釣りを薦めれば、それに影響を受けて電動リールを導入する人がいても不思議ではありません。
以上のような理由から、「これは手巻きでは無理だ!」と叫びたくなるような釣りでなくても、電動リールが使われる機会が増えてきているのではないでしょうか。
限界を感じてもいないのに、効率を重視して安易に電動リールを使うなんて、「自分と自然との勝負」という釣りの楽しみの一つを放棄しているようなものではないかと、私は思うのですが、いかがでしょうか。