釣りにゃんだろう

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釣りをしていて感動した瞬間。

釣りをしていると、感動をする瞬間が必ずあるものです。
一番分かりやすいのは、狙っていた魚かそれ以上の魚が釣れた時でしょう。
そんな時には、フックを外す手が震えてしまったことがある人も、沢山いるのではないでしょうか。

 

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一方で魚が釣れた瞬間以外にも、時として大きな感動を覚えることがあります。

ぱっと思い浮かぶ出来事として、私はこのような経験をしたことがあります。

9月か10月あたりの初秋の頃だったでしょうか、北海道の湖で釣りをしていました。
深い森に囲まれた岬で、魚もよく釣れるが、クマもよく現れる場所として有名でした。
急激に冷え込んだ朝で、湖は濃い霧に包まれ、対岸を見ることもできません。

 

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風も弱く音もなく、湖に立ち込んで、360度を霧に囲まれた真っ白な静寂の中で釣りをしていると、このまま異次元にでも飛び込んでいってしまいそうな気分です。

何匹かぽつぽつとアメマスが釣れたのですが、あまり大きくもないので、写真も撮らずに逃がしていました。

そんな時に、突然、右手の湖岸の森の方から、何かが迫ってくる気配を感じたのです。

何かが来るということが分かったのは、音が迫ってきていたからです。

しかし、その音というものが、産まれてから今まで一度も聞いたことのないものなので、一体何なのか分からないのです。

 

 

何かの騒音のようなもの。
それもかなり大きい音。
電車でも近づいてくるような音だが、線路は近くにない。
車道などはないので車が走っているわけもない。
船でもない。

山深い真っ白な霧の中で、得体の知れない大きな音が迫ってくるというのは、なかなか恐ろしいことでもあります。

いよいよ音が大きくなってきた瞬間、その音の発生源は霧の中から突然姿を現しました。

 

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白鳥の群です。

その「ブンブン」という、巨大な羽で羽ばたく音が集まると、この静寂に包まれた世界では、電車が走ってきたような迫力のある音がするのです。
そして、時おり「ギャア、ギャア」と鳴く声も加わり、なんともいえない謎の音に仕上がっているのです。

音の主が分かれば、恐怖心は一瞬で消えてしまいます。
代わりに、深い感動が胸に満ちてきました。

人生で初めて聞いた謎の音は、白鳥の群が羽ばたく音だったのか。
シベリアかどこかから来て、どこかへ行くのだろうか。
力強い音は、それを納得させるだけ逞しいものだ。

私は、しばらくリールのハンドルを回すのを止め、白鳥の大群が霧の中に消えていくのを、旅の安全を祈りながら見送っていました。

 

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釣りをしていると、このような思いがけない発見や感動をすることができるものです。
ただ、こういった自然の中での発見や感動は、どこの釣り場ででも味わえるものではないでしょう。
それなりに静かで人間のあまり来ない場所で釣りをしなければ、味わえないことでしょう。

私は、このような発見や感動も、釣りの大きな魅力であると思っているので、これからも釣りは出来る限り人の居ないような場所に行きたいと思っています。
ただ、釣果や時間などを考慮してしまうと、なかなかそういった場所ばかりに釣りに行くわけにもいかなくなってしまうのが困りものです。