私は、ジャンク品と呼ばれるような中古の状態の悪いフライリールばかり使っています。
フライリールは構造が単純な物が多く、リールにそこまで複雑な役割りが求められませんから、ちょっと錆びているとか、フレームが歪んでいるとか、あまり状態が良くないものでも、何の問題もなく使うことができます。
そんなわけで状態の悪そうな物が安く売られていると、ついつい買ってしまうことが多いのですが、そういった物の中には意外と海で使われた形跡があるものが多いです。
潮が付いていたり、腐蝕している部分があったりと、明らかに海で使われて、そのまま放置されているような物です。
そして、巻かれっぱなしになっているラインを調べてみると、フライリールなのにフライフィッシングに使われていた形跡がありません。
どうもチヌ釣りなんかの、エサ釣りに使われていたようなのです。
最初から海でのエサ釣り用にフライリールを買う人は少ないでしょうから、まず中古で安く売られた物をエサ釣りの人が買い、それを海で酷使し、さらに売り飛ばされた物なのでしょう。
こう考えてみると、なかなか過酷な運命を辿ってきたリール達であります。
塗装がハゲたり腐蝕した箇所は、どこでどんな酷い扱いを受けた時の物なのか、見ていて少々痛々しいです。
それでも大丈夫、まだまだ現役です。
ちょっと清掃して、オイルとグリスをさせば、あっという間に復活です。
そんな再生させたリールで、綺麗な鱒などを釣るのは、何とも気持ちが良いものです。
長い年月をかけ、リールが本来の目的を達成できるようになったと思うと、感慨深くさえあります。
これは、新品のピカピカのリールを使って釣りをするよりも、ずっと面白いことだと思います。
釣りという趣味を、より深く時間をかけて楽しみたいのだったら、新品のリールなんかは買うべきではないでしょう。
ジャンク品のリールを清掃して使えるようにするところから、釣りの準備をするくらいの心の余裕を持ってこそ、心の豊かな釣りをしていると言えるのだと思います。