アブ社はスウェーデンの会社で、堅実なものづくりで、かつては名品リールをいくつも世に送り出してきました。
80年代には、アブ・ガルシアと社名を変更、現在ではアメリカのピュアフィッシングの傘下にあります。
カーディナル66は、そんなアブ社が1965年から発売を開始した中型のスピニングリールです。
最初のカーディナル。
カーディナル66は、カーディナルシリーズの最初のモデルです。
同年に発売されたのはカーディナル77のみ。
その後、1969年にカーディナル44、1976年にカーディナル33といった、小型モデルが発売されました。
基本的な構造は、カーディナル66からその後のモデルまであまり変化がなく、1965年の時点ですでに完成されていたデザインを持っていたと言ってもよいでしょう。
ハンドル1回転で、53㎝の巻き取り速度。
シリーズで最初期に開発されたものだからか、ギア比が1:3.3と低く、ハンドル1回転で53㎝しか巻き取りできません。
これはアンバサダー5500Cと同じ数字ですが、小さな半径でクルクルとハンドルを廻すベイトリールよりも、そのスピードの遅さを顕著に感じます。
しかし、この点さえ意識してリトリーブなどを行えば、基本的にはカーディナル44と同じように、とても使いやすいリールです。
限界に近かったカーディナル66。
私はこのリールを、カーディナル44より太いラインを使い、大きな魚を釣るために入手しました。
あまり人気がないためか、4000円以下でした。
ヤフオクなどで、オールドリールは大きくなるほど安くなる気がします。それだけ日本には夢のある魚が居なくて、使用される場面が少ないのでしょうか。
イトウやパイクなどを釣るのには問題なかったのですが、激流の中で120㎝のタイメンを釣るのには、この巻き取り速度の遅さからなかなか苦戦しました。
魚に無駄に下流に走られたり、ポンピングもやりづらかったり、ロッドにしがみつきながら、「これはちょっと不便だ」と初めてオールドリールを使っていて感じました。
しかし、パワー的には余裕があったので、それは低いギア比のお陰だったのかもしれません。
高性能な釣り具で快適に魚とやりとりするよりも、限界に近い状態で、その瞬間を自分の判断と工夫で乗り切るような釣りは、スポーツ感に溢れ楽しいものです。
もっとも、このリールで昔はでっかいサーモン等が釣られていたわけで、この程度は限界などではなく、発売当時では普通の釣りだったのかもしれません。
人間には、道具が進化すると、その分失われる能力もあるのではないかと、思わされるような釣りでした。
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