とある朝、膝の上に猫を載せて、寝ぼけながらテレビを見ていると、村田基氏が鹿島槍ガーデンで釣りをしていました。
大きな魚が釣れていたのですが、「まあ取材だからなんだろうな、これを信じてはいけない」と思っていると、村田基氏がさらっと、こんなようなことを言いました。
「管理釣り場の魚は、アレですけどね。トラウトは、だいたいバスの3倍は引きますからね」
「3倍ってことあるかな」、と思ってしまいましたが、ちょっと冷静に今回はこのことについて考えてみましょう。
そもそも、比較がしずらいものだ。
この二種類の魚類の釣りの場面での引きを比較するのは、そもそもとても難しいのではないでしょうか。
使われているタックルが、結構違うからです。
バスロッドというのは、かなり固くて、魚のサイズから考えると、異様にパワーがあるものの気がします。
これは、魚を掛けたら、とにかく一気に寄せて、確実に素早く釣るためなのではないでしょうか。
これは、トーナメント競技の影響を強く受けているのだと思います。
そこには、「引きを楽しむ」なんて言っている暇と余裕は、全くないのだと思います。
それに対して、トラウトロッドは、素直に曲がって、バレやラインブレイクを防いでくれるものが多い気がします。
ドラグをたっぷり使って、じっくらファイトする人も多いです。
この全く性格が違うロッドを使う釣りで、魚の引きを比較するのは難しいことではないでしょうか。
これに加えて、私自身はバスというものを、もう20年近く釣ったことがありません。
これではちょっと、引きを比べるなんてお手上げだな、と思っていましたが、じっくり記憶を掘り起こしてみると、なかなか良い比較対象を思い出すことができました。
人生で一番大きなバスを釣った日。
私が、人生で一番大きなバスを釣ったのは、中学1年か2年の時の7月に行った丹沢湖でした。
世附川の流入部の堰堤のすぐ下で、流れもあり岩もゴロゴロと多く、それこそトラウト類が釣れそうな場所でした。
ここで、堰堤から落ちる水の白泡の影に魚が居たので、目の前にワームのジクヘッドリグを落とすと、一発で釣れました。
水も魚もとても綺麗だった記憶があります。
上がってきたのは、52センチのラージマウスバスでした。
今の時代では、たいしたサイズではないでしょうが、当時は50を越えれば大物という時代だったので、結構嬉しかったですね。
この時、使っていたのは、ライトアクションのスピニングロッドで、ラインはナイロンの8ポンドでした。
ドラグを使ってやり取りした記憶は、全くありません。
釣れてから、暴れるのをあやしつつ、すぐに岸に寄せてきた気がします。
今の時代は、もっと細いラインを使うらしいので、時間がかかるのかもしれませんが、ファイトはほんの一瞬でした。
さて、このタックルの強さ、今になって考えてみると、ちょうどニジマスを釣るくらいのものではないでしょうか。
私は、ラインをもう少し太くしますが、ロッドのパワーなどは、ちょうどニジマスに良いくらいだと思います。
このタックルで、同じようなダムのバックウォーターで、52センチのニジマスが掛かったとしたら、さてどうなるか。
絶対に、バスのように、すんなりと岸に寄せてきて終わりにはなりません。
ジャンプしたり、突っ走ったりして、結構めんどうなことになるはずです。
リールがジージーと鳴り、ラインも出されること間違いありません。
こう考えてみると、「トラウトはバスの3倍引く」という村田基氏の言葉は、あながち嘘ではない気がしてきます。
スピードもパワーも3倍くらいあるような感覚を覚えても、不思議ではありません。
ただし、これは村田氏も言っていた通り、野生の魚の場合だと思います。
バス釣りが趣味の方で、この発言が信じられない方は、スピニングのバスロッドを持って、北海道にでも行ってみてはいかがでしょうか。
特にタックルを新調しなくても、十分に釣りを楽しめるはずです。
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