いつだったか、朝早くに東京から成田空港に向かう高速道路を走るバスの車窓から外を眺めていると、旧江戸川あたりの護岸が見えました。
そこには、等間隔に北海道のサケ釣りのように釣り人が並んでいて、その列は見えなくなる遠くまで続いてました。
所謂シーバス釣りというやつでしょうか。
そのままバスに乗って行くと、千葉側の「江戸川で釣れるんなら、ここでも釣れるんじゃないか?」というような川が何本も見えたのですが、一人も釣り人の姿は見えませんでした。
多少は確率が悪くても、「おれはこっちでやってみるよ」という人が居ても良さそうなものですが、私が見た範囲には居なかったようです。
釣り人が密集しがち。
このように、やたらと一つのポイントに釣り人が集まることが、東京以外でも近頃はちょっと増えてきている気がします。
これは、おそらく釣り人の情報収集の手段がネット情報に偏ってきているからなのではないかと考えられます。
ブログやSNSで誰かが釣れたという情報が流れ、その場所が判明すると(それが真実かも分からないのだが…)、その情報を元にその場所に押し掛けるという釣り人が沢山いるのではないでしょうか。
地図を調べたり自分の足でポイントを探したりしている人なら、その情報を参考にしつつも別の場所を選択するということもできるのでしょうが、情報収集の手段がネットしかない人々は、ただその場所に集まり人山を作ることしかできないのではないでしょうか。
このような傾向が強いことを感じさせる例として、こんなこともあります。
最近の釣り人は「釣れてるみたい」とか「誰も釣れていない」とか、簡単に口にすることが多い気がしますが、話を聞いてみると、その情報源がSNSだったりするのです。
釣り人全員がその人の見る範囲でSNSをやっているわけではないのですし、そんな小さな世界のことだけで全てを把握したように「誰も釣れていない」などと判断するのは、少しおかしいのではないでしょうか。
魚が釣れたって釣果をネット上に上げない人は、いくらでも居るわけですから、なんともおかしい話だと思ってしまいます。
なんでもネット上の情報に頼って行動するとは、いかにも現代的な気もしますが、釣りというものは自然の中で生きた魚を釣るという、かなりアナログなものなのですから、こういった情報収集の仕方で釣りをしていても、あまり良い思いはできないのではないでしょうか。
そうは言っても、バカみたいに一ヶ所に釣り人が集中してもらえれば、そういった情報に流されない自分の釣りができる人は、のんびりと自分の好きな他の場所で良い思いができるわけですから、自己中心的に考えてしまえばネットでしか情報収集できない人々には、できればそのままで居てもらった方が良いとも言えるのかもしれません。