開高健のフィッシュ・オンの最初に『都会は石の墓場です、人の住むところではありません』というロダンの言葉か記してあります。
今年ほど、この言葉が身に染みた年はなかったのではないでしょうか。
人がバカみたいに都市に密集して住んで増殖していなければ、今年のように多少の感染症なんて大問題にはならず、流行もしなかったかもしれません。
こういった観点から考えれば、都市を作り増え過ぎた人類というものは、生き物の生き方としては間違っていたのではないでしょうか。
そもそも、知恵と強欲さがあったために人類は増え過ぎてしまいましたが、地球上にこんなに沢山は必要なかったはずです。
人間様は、やれウィルスだと迷惑そうに今回のことで騒いでいますが、他の地球の生き物達からしてみたら、地球上の生命と環境を脅かす人間ほど迷惑な存在はないわけで、ウィルスは地球の救世主みたいなものでしょう。
こういったことに気づいた人が多かったからか、昨今は少しでも都市を離れ自然に近づき、地球の住人としてのあるべき姿を取り戻したいと、野山でアウトドアを楽しむ人が増えているのかと私は思っていたわけですが、どうもそれも違うみたいですね。
ただ単に、人が多い都会は嫌だとか、自然の中は安全でリフレッシュできるだとかいった考えであり、こうなってしまった原因が自分達人間にあるのだとまで考えている人達は少なそうです。
この調子ですと、これからも同じような過ちを人間は繰り返していくのではないでしょうか。
地球の自然に自らバランスをとる力があるとするのなら、もっと強力な人類の半数以上が滅びるような感染症が登場することもあるかもしれませんが、そうなってもまた無駄に騒ぐだけなのでしょう。
そして、その時こそ本当に「都会は石の墓場」となるのかもしれません。