先週末に行われたJ3リーグ第2節でホーム開幕戦を迎えたAC長野パルセイロ。
YSCC横浜を3―0で退け、開幕から無失点で2連勝とし、首位に立っています。
まだリーグ戦は、始まったばかりですが、AC長野パルセイロがJ2に昇格し、松本山雅がJ1に昇格できなかった場合、来年にも伝説の「信州ダービー」が復活する可能性があります。
AC長野パルセイロとは。
AC長野パルセイロとは、長野県長野市を中心とした16市町村をホームタウンとする、現在J3リーグに所属するクラブです。現状ではJ2リーグまで参加できる資格を持っています。
1990年に長野エルザサッカークラブとして誕生。2007年にAC長野パルセイロと改称しています。
ACはアスレチッククラブの略で、パルセイロとはポルトガル後で、パートナーという意味。地域社会とクラブがパートナーとして「地域密着協働型スポーツクラブ」として共生していくことを目指しています。
Jリーグを戦う男子サッカーの他にも、なでしこリーグ1部のAC長野パルセイロレディースを保有しています。また、アイスホッケー、バドミントンのクラブもありますが、各クラブの運営は、種目ごとに独立採算制をとっており、運営や資本に直接の関係はありません。
当時、Jリーグを目指すクラブが揃い戦国時代のような状況であった北信越リーグを勝ち抜き、2011年からJFLへ。
2011年、2012年に、2位となりますが、当時のホームスタジアムがJ2リーグの企画を満たしていなかったため(2015年に改修済み)、J2への挑戦はできませんでした。
同じ県内のライバルクラブの松本山雅FCは、もともと松本市が日韓ワールドカップのパラグアイのキャンプ地の招致に成功した土地で、スタジアムなどのハード面が揃っていたため、2011年にJFLで4位ながら、J2に昇格しています。
その後、松本山雅は、2015年にはJ1を経験するなど躍進を見せます。
「成績では負けてなかったのに」と長野の人々は、今でも恨めしく思っていても不思議ではありませんね。
J3発足に伴い、2014年からJ3リーグに参戦。初年度は2位となり、J2カマタマーレ讃岐との入れ替え戦に挑むも、敗戦しJ3に残留。
2015年、2016年は、3位となりJ2昇格を逃しています。
伝説の一戦。信州ダービー。
同じ県内でライバルクラブであったAC長野パルセイロと松本山雅FCの一戦は、信州ダービーと呼ばれ、地域リーグ時代から異様な盛り上がりを見せており、注目を集めていました。
この模様は、ドキュメンタリー映画「クラシコ」として撮影されるほど、白熱したものでした。
このダービーマッチの対戦成績は、これまでの北信越1部とJFLのリーグ戦で、松本山雅が4勝4分け2敗と勝ち越しています。
異様に敵対意識が強い、この2クラブですが、その原因はこの二つの地域の対立にあるとされています。
明治9年までは、長野市のある長野県と、松本市のある筑摩県と、別の県であったこと。その合併の際に、どちらに県庁所在地を置くかで揉めたこと。
これらのことから、長野と松本は元々敵対意識の強い、異なる文化圏であり、その土地を象徴とするサッカークラブの戦いとなると白熱しないわけがありません。
対立の要因を、明治時代まで遡ってしまうのは、ちょっと後付け感があるという意見もありますが、長野がオリンピックを呼べば、松本はワールドカップのキャンプを呼ぶなど、現代でも政治とカネが絡んでこの二つの地域が張り合っていることが窺えます。
このような背景があるので、大した対立もないのに富士通と東京ガスの対決をクラシコなどと呼んでしまう、商業的なJリーグのダービーマッチと、信州ダービーは奥深さが段違いなのではないでしょうか。
そんな信州ダービーが、来年復活するためには、AC長野パルセイロが、J2に昇格することが絶対条件です。
その上で、松本山雅FCがJ2に留まった場合だけ、信州ダービーが復活します。
松本山雅FCがJ1に昇格する可能性も、大いにありますので、信州ダービーの復活の可能性は、まだまだ未知数といったところでしょうか。